♢♢♢♢♢
『それからね。もう一つ聞きたいんだけど、
忍葉君は、普通の人には、見えないものが見えたり、感じないものを感じたりしないかい?』
『???……見えないものや、感じないものってどんなもの?』
『普通の人に見えないものは、霊獣や精霊、妖精の類、具体的に言うと麒麟や狛犬、付喪神なんかだよ。
感じないものは、神気や霊力やそれらを込められて作られたものの気かな…。』
『……えっと〜。』
『お姉ちゃん、何か見えてたよね。小さい頃。』
『気づいてたんだ。美月…。』
『お姉ちゃんが何も居ないところで、ポチって名前呼んで話しをしてるのを何回か見たことがあるの。
ポチって犬みたいだから、犬の幽霊でも見えるのかな?って思ってたから覚えてる。』
『…ポチ?…覚えていない。小さい頃は、見えていた記憶は薄らある。
だけど、どんなのだったかも、朧げで、名前があったかも覚えていないし…今は見えない。今も神気や霊力的なものは感じてると思うけど…。』
『だいたい、わかったよ。順を追って説明するね。忍葉君、君は、花姫であることに間違いはないよ。例え、花紋が今、現れていなくてもね。
そして、かなり霊力の高い、上位の花王子の花姫だよ。』
『そんな筈ない‼︎』
『そんなことあるわけない‼︎』
『お姉ちゃん、落ち着いて。』
ハッとした。
『……あっ、うん。ごめんなさい。』
『大丈夫かい?』
『……………………』
『とりあえず、説明を聞こうよ。それから考えた方がいいよ。』
『……うん。わかった。聞く。』
『やだー。お姉ちゃん片言になってるよ。リラックスして。』
『うん。続きお願いします。』
『まず、花姫について説明が必要だね。
花姫にはね、花姫と花木姫2種類あるんだよ。
ほかにも、御霊還りと言われる花姫もいるけどね。今回はそれは置いておくよ。
神獣人の霊力っていうのは、気として身体を巡って流れているんだよ。
気っていうのは、霊気や神気で、霊力の元になるものだよ。
番の花紋が出て花姫になるとね。神獣人のように、気が体を巡るようになる。
神獣人は、それを、こうやって集めて』
と言って、手の平から青い炎を出してみせた。
『神獣人は、流れる気を集めて霊力として使えるんだよ。
神獣人と違って花姫の場合は、巡るだけなんだ。
だけど、この仕組みが体にできるから花姫と花王子との間の子は、
人間の血で、薄まるどころか、霊力が強い子が生まれると言われているんだよ。
そしてね。大気中にはね、穢れ、悪い気だね。穢れがあるんだよ。
神獣人は、その体自体、気を生み出し、循環してるからね。外気から拾った穢れを、浄化して体を流れる気がいい状態に保つことができるけど、
花姫様は、体自体で気を生み出さない。
代わりに、花木に宿る精霊から良い気を貰うんだよ。そうすることで、穢れを浄化して、流れる気の状態を保てるようになる。
その気の受け取れる量が、花木がある番の花紋をもった花木姫の方が多いし、体に流れる気の量も多くなるんだ。
神獣人は、能力主義だからね。上位の方であるほど、霊力は高い。霊力が高ければ、身体に流れる気の量も多くなる。
花王子と花姫はね。両者の間でも、気が流れ通い合うんだよ。
花王子と花姫が互いに惹かれ合い結びつきが強いと言われているのは、気が流れ、通い合うからなんだよ。
互いに気が流れ合うので、流れる量が見合う者同士が番になるんだよ。
だから上位の花王子の花姫は、花木姫様になる。
美月君は、藤の花木姫で、花王子の藍蓮君は、鳳凰一族の次期当主様でしよ。』
『えっ‼︎そうなの?』
『なんだまだ知らなかったの?話して良かった?美月君。』
『あ、うん。大丈夫です。話すほどの時間無かったから。』
『藍蓮君に呼ばれて、割とすぐ来たからね。』
『話を続けるよ。
忍葉君の髪の色や目の色はね。人間では、珍しいけど、神獣人なら、色々な目の色、髪の色は普通なんだ。
そしてね、気の流れる量が多い花木姫の中には、君のように人間には珍しい、神獣人のような目や髪の色をした子が稀に生まれるんだよ。
そういう子は、さっき言ったように、
霊獣や精霊、妖精なんかの類が見え、霊力を感じる。
これはね、神獣人と同じ特徴なんだよ。
そういう花木姫は、花木姫の中でも、気の流れる量は、多いと言えるね。』
『……………………』
『ヤッター。』
『えっ?』
『お姉ちゃん、上位の花王子の花姫なんだよ。良かったじゃない。私はその方がいい。安心できる。花王子と花王子の家に守って貰えるもの。』
『良かったなんて全く思えない。
守って貰うなんてとんでもない‼︎そんな迷惑かけられない。』
『そんな…。何で‼︎』
『美月君。今は仕方ないと思うよ。
忍葉君は、今日、花紋が出なかったでしょ。
花紋が現れることに、心理的な抵抗があると言える。
気を失ったくらいだから、強い抵抗だよね。
心理と感情と思考は連動してるからね。
気を失うほど、深い部分で抵抗していることを、感情や思考でやりたがって行動したら大変なことになるだろ?
花姫になりたくない。なるのに抵抗があると語るのは当然な状態だと思うし、そうであってくれないと危なかしいよ。』
『そう言われると…そうね。』
『今日、祈祷中に倒れたのはね、
さっき話してくれた時々ある吐いちゃうこととは、全く別ものだと思うよ。
僕はそう判断したよ。
花姫かの確認のために、祈祷をすると、
ごく稀に、忍葉君みたいに、苦しんで気を失ったりする子は、居るんだよ。
そういう子はね。
祈祷が始まって、数分後に始まる、祝詞奏上辺りで、
だいたい苦しみ出すんだよ。
忍葉君も、そうだったと龍咲君が言ってた。
今日のは、花紋が現れることの心理的な抵抗
だと思うよ。
花紋が出る時は、祝詞奏上辺りで、だいたいみんな出るからね。
そして、話してくれた夢、
記憶がもてるくらいの幼い頃の体験の記憶と関係あるはずだよ。
幼い頃っていうのは、視野が狭いし、理解力も幼いからね。
大人なら思わないことを思い込むことがある。
これはさっきも言ったけど、思い出すべき時に、思い出すと思う。
幼い頃の体験の記憶が蘇ったら、思い込んだことを見直して解放されれば、花紋は出るんじゃないかなと、僕は思っているよ。』
『ただ、もう一つあるんだ。
忍葉君の赤いアザ。単純性血管腫。血管奇形。って診断だったよね。』
『はい。』
『忍葉君の肌や目、髪の色素は薄いよね。
人間の子どもっていうのはね、
お腹の中に宿った時から、3歳くらいまで、
母親の影響を受けやすいんだ。
妊娠していた頃のお母さんに心理的な負荷が強くあるとね。
どういうわけかまだ、わかっていないけど、
赤ちゃんの花姫は、
色素が薄くて、赤アザがある子が生まれることがあるんだよ。
この場合はね、花紋が現れないことが多いんだ。
忍葉君みたいに、たまたま姉妹に、花姫が出て、今日みたいに祈祷を受けるとね、
アレは少し強制的に花紋を出すからね。
花紋が現れることに抵抗を起こして、倒れることもあるし、
花紋が現れることへの心理的な抵抗が、なんらかが起きてなくなって、花紋が30近くなって現れた花姫もいるんだよ。
もちろん、花紋が現れないまま生涯を終えた花姫もいるだろうね。』
『だけどね。花紋が、現れると、色素の濃さは正常レベルになるし、赤アザはすっかり消えてしまうんだよ。見えなくなった霊獣なんかも見えるようになるよ。』
『えっ‼︎本当に?』
美月が、身を乗り出して、聞いたので驚いた。
『祈祷の時の様子を、龍咲君から聞いたんだけど、倒れる一瞬前、手の甲から、赤いアザがパッと一瞬、消えたそうだよ。』
『えっ‼︎でも、花紋は現れてないでしょ。』
『それはわからないね。一瞬現れていた可能性はあるからね。誰にも見えなかっただけで。
えっとね、三女の美咲君?であってる?』
『はい。三女は美咲です。』
『美咲君と美月君の花紋の大きさ、違うでしょ。花姫より、花木姫の花紋の方が大きいんだよ。これも、気の巡る量と関係あるからね。』
『美月君の大きさで、手の甲一杯に広がってるでしよ。手首や、横まで回ってるくらいだ。忍葉君の花紋は、それより大きいはずだから、手の甲には、現れないと思うよ。
現れるなら、右の鎖骨の下から、胸の上の間じゃないかな。
花姫の花紋は手の甲に現れると皆、思っているからね。胸など、違う場所に現れるごく少数の例外の存在を知らないからね。』
『はい。私は、忍葉様の横に居ましたから、忍葉様の手の甲ばかりを見ておりました。
でも、あの時、倒れる直前、忍葉様、美月様、両方から、神気がバッと溢れました。
それは間違いありません。
その時、美月様の手の甲に花紋が現れたと綾音が申しておりました。
花紋が、現れると、赤アザが消えるなら、
赤アザが消えたあの一瞬、
忍葉様の胸に、花紋が現れていてもおかしくなかったかと思います。』
『僕もそう思うよ。』
『それからね。もう一つ聞きたいんだけど、
忍葉君は、普通の人には、見えないものが見えたり、感じないものを感じたりしないかい?』
『???……見えないものや、感じないものってどんなもの?』
『普通の人に見えないものは、霊獣や精霊、妖精の類、具体的に言うと麒麟や狛犬、付喪神なんかだよ。
感じないものは、神気や霊力やそれらを込められて作られたものの気かな…。』
『……えっと〜。』
『お姉ちゃん、何か見えてたよね。小さい頃。』
『気づいてたんだ。美月…。』
『お姉ちゃんが何も居ないところで、ポチって名前呼んで話しをしてるのを何回か見たことがあるの。
ポチって犬みたいだから、犬の幽霊でも見えるのかな?って思ってたから覚えてる。』
『…ポチ?…覚えていない。小さい頃は、見えていた記憶は薄らある。
だけど、どんなのだったかも、朧げで、名前があったかも覚えていないし…今は見えない。今も神気や霊力的なものは感じてると思うけど…。』
『だいたい、わかったよ。順を追って説明するね。忍葉君、君は、花姫であることに間違いはないよ。例え、花紋が今、現れていなくてもね。
そして、かなり霊力の高い、上位の花王子の花姫だよ。』
『そんな筈ない‼︎』
『そんなことあるわけない‼︎』
『お姉ちゃん、落ち着いて。』
ハッとした。
『……あっ、うん。ごめんなさい。』
『大丈夫かい?』
『……………………』
『とりあえず、説明を聞こうよ。それから考えた方がいいよ。』
『……うん。わかった。聞く。』
『やだー。お姉ちゃん片言になってるよ。リラックスして。』
『うん。続きお願いします。』
『まず、花姫について説明が必要だね。
花姫にはね、花姫と花木姫2種類あるんだよ。
ほかにも、御霊還りと言われる花姫もいるけどね。今回はそれは置いておくよ。
神獣人の霊力っていうのは、気として身体を巡って流れているんだよ。
気っていうのは、霊気や神気で、霊力の元になるものだよ。
番の花紋が出て花姫になるとね。神獣人のように、気が体を巡るようになる。
神獣人は、それを、こうやって集めて』
と言って、手の平から青い炎を出してみせた。
『神獣人は、流れる気を集めて霊力として使えるんだよ。
神獣人と違って花姫の場合は、巡るだけなんだ。
だけど、この仕組みが体にできるから花姫と花王子との間の子は、
人間の血で、薄まるどころか、霊力が強い子が生まれると言われているんだよ。
そしてね。大気中にはね、穢れ、悪い気だね。穢れがあるんだよ。
神獣人は、その体自体、気を生み出し、循環してるからね。外気から拾った穢れを、浄化して体を流れる気がいい状態に保つことができるけど、
花姫様は、体自体で気を生み出さない。
代わりに、花木に宿る精霊から良い気を貰うんだよ。そうすることで、穢れを浄化して、流れる気の状態を保てるようになる。
その気の受け取れる量が、花木がある番の花紋をもった花木姫の方が多いし、体に流れる気の量も多くなるんだ。
神獣人は、能力主義だからね。上位の方であるほど、霊力は高い。霊力が高ければ、身体に流れる気の量も多くなる。
花王子と花姫はね。両者の間でも、気が流れ通い合うんだよ。
花王子と花姫が互いに惹かれ合い結びつきが強いと言われているのは、気が流れ、通い合うからなんだよ。
互いに気が流れ合うので、流れる量が見合う者同士が番になるんだよ。
だから上位の花王子の花姫は、花木姫様になる。
美月君は、藤の花木姫で、花王子の藍蓮君は、鳳凰一族の次期当主様でしよ。』
『えっ‼︎そうなの?』
『なんだまだ知らなかったの?話して良かった?美月君。』
『あ、うん。大丈夫です。話すほどの時間無かったから。』
『藍蓮君に呼ばれて、割とすぐ来たからね。』
『話を続けるよ。
忍葉君の髪の色や目の色はね。人間では、珍しいけど、神獣人なら、色々な目の色、髪の色は普通なんだ。
そしてね、気の流れる量が多い花木姫の中には、君のように人間には珍しい、神獣人のような目や髪の色をした子が稀に生まれるんだよ。
そういう子は、さっき言ったように、
霊獣や精霊、妖精なんかの類が見え、霊力を感じる。
これはね、神獣人と同じ特徴なんだよ。
そういう花木姫は、花木姫の中でも、気の流れる量は、多いと言えるね。』
『……………………』
『ヤッター。』
『えっ?』
『お姉ちゃん、上位の花王子の花姫なんだよ。良かったじゃない。私はその方がいい。安心できる。花王子と花王子の家に守って貰えるもの。』
『良かったなんて全く思えない。
守って貰うなんてとんでもない‼︎そんな迷惑かけられない。』
『そんな…。何で‼︎』
『美月君。今は仕方ないと思うよ。
忍葉君は、今日、花紋が出なかったでしょ。
花紋が現れることに、心理的な抵抗があると言える。
気を失ったくらいだから、強い抵抗だよね。
心理と感情と思考は連動してるからね。
気を失うほど、深い部分で抵抗していることを、感情や思考でやりたがって行動したら大変なことになるだろ?
花姫になりたくない。なるのに抵抗があると語るのは当然な状態だと思うし、そうであってくれないと危なかしいよ。』
『そう言われると…そうね。』
『今日、祈祷中に倒れたのはね、
さっき話してくれた時々ある吐いちゃうこととは、全く別ものだと思うよ。
僕はそう判断したよ。
花姫かの確認のために、祈祷をすると、
ごく稀に、忍葉君みたいに、苦しんで気を失ったりする子は、居るんだよ。
そういう子はね。
祈祷が始まって、数分後に始まる、祝詞奏上辺りで、
だいたい苦しみ出すんだよ。
忍葉君も、そうだったと龍咲君が言ってた。
今日のは、花紋が現れることの心理的な抵抗
だと思うよ。
花紋が出る時は、祝詞奏上辺りで、だいたいみんな出るからね。
そして、話してくれた夢、
記憶がもてるくらいの幼い頃の体験の記憶と関係あるはずだよ。
幼い頃っていうのは、視野が狭いし、理解力も幼いからね。
大人なら思わないことを思い込むことがある。
これはさっきも言ったけど、思い出すべき時に、思い出すと思う。
幼い頃の体験の記憶が蘇ったら、思い込んだことを見直して解放されれば、花紋は出るんじゃないかなと、僕は思っているよ。』
『ただ、もう一つあるんだ。
忍葉君の赤いアザ。単純性血管腫。血管奇形。って診断だったよね。』
『はい。』
『忍葉君の肌や目、髪の色素は薄いよね。
人間の子どもっていうのはね、
お腹の中に宿った時から、3歳くらいまで、
母親の影響を受けやすいんだ。
妊娠していた頃のお母さんに心理的な負荷が強くあるとね。
どういうわけかまだ、わかっていないけど、
赤ちゃんの花姫は、
色素が薄くて、赤アザがある子が生まれることがあるんだよ。
この場合はね、花紋が現れないことが多いんだ。
忍葉君みたいに、たまたま姉妹に、花姫が出て、今日みたいに祈祷を受けるとね、
アレは少し強制的に花紋を出すからね。
花紋が現れることに抵抗を起こして、倒れることもあるし、
花紋が現れることへの心理的な抵抗が、なんらかが起きてなくなって、花紋が30近くなって現れた花姫もいるんだよ。
もちろん、花紋が現れないまま生涯を終えた花姫もいるだろうね。』
『だけどね。花紋が、現れると、色素の濃さは正常レベルになるし、赤アザはすっかり消えてしまうんだよ。見えなくなった霊獣なんかも見えるようになるよ。』
『えっ‼︎本当に?』
美月が、身を乗り出して、聞いたので驚いた。
『祈祷の時の様子を、龍咲君から聞いたんだけど、倒れる一瞬前、手の甲から、赤いアザがパッと一瞬、消えたそうだよ。』
『えっ‼︎でも、花紋は現れてないでしょ。』
『それはわからないね。一瞬現れていた可能性はあるからね。誰にも見えなかっただけで。
えっとね、三女の美咲君?であってる?』
『はい。三女は美咲です。』
『美咲君と美月君の花紋の大きさ、違うでしょ。花姫より、花木姫の花紋の方が大きいんだよ。これも、気の巡る量と関係あるからね。』
『美月君の大きさで、手の甲一杯に広がってるでしよ。手首や、横まで回ってるくらいだ。忍葉君の花紋は、それより大きいはずだから、手の甲には、現れないと思うよ。
現れるなら、右の鎖骨の下から、胸の上の間じゃないかな。
花姫の花紋は手の甲に現れると皆、思っているからね。胸など、違う場所に現れるごく少数の例外の存在を知らないからね。』
『はい。私は、忍葉様の横に居ましたから、忍葉様の手の甲ばかりを見ておりました。
でも、あの時、倒れる直前、忍葉様、美月様、両方から、神気がバッと溢れました。
それは間違いありません。
その時、美月様の手の甲に花紋が現れたと綾音が申しておりました。
花紋が、現れると、赤アザが消えるなら、
赤アザが消えたあの一瞬、
忍葉様の胸に、花紋が現れていてもおかしくなかったかと思います。』
『僕もそう思うよ。』