♢♢♢♢♢
……あれ?いつの間に帰ってきたのかな?
周りを見回す。
寝てたんだ…アレ?見慣れない部屋に、家じゃないと気づいて、驚いてガバッと起き上がった。
『えっ‼︎』
着ているものが変わっていることに気づいて驚いた。
『お姉ちゃん。』
美月が駆け寄ってきた。
『目が覚めた?お姉ちゃん、私、わかる?』
『美月でしょ。えっと、ここ何処?』
『桜坂総合病院です。祈祷が始まって、数分後、祝詞奏上の途中、急に胸を押さえて苦しみ出されまして。』
美月は、私の様子を見て、心底ホッとしたみたいに見えた。
ベッドの脇の椅子に座った。
そして、その横に見知らぬ男の人が立った。
顔立ちが整いすぎるほど、整っているし、雰囲気が独特だから神獣人だろうけど…
『えっと…誰?』
『お姉ちゃん、あのね、さっきの祈祷で、私、花紋が現れて…。花姫だったの私。
それで、彼が花王子の朱雀門 藍蓮様。』
『そう…。えっと…良かったね。でいいの?』
『えっ?』
『美月は、花姫になりたくないって言ってたから。こないだは、ちょっとなってもいいかも…とは言ってたけど、
美月にとって花姫になったことは、良いことだったのかなと思って。』
『あっ、うん。』
そう言って美月は、隣の愛蓮様を見上げて、
『良かったよ。』
と言ってちょっと照れくさそうに笑った。
頬がほんのりピンクだった。
美月のその表情を見て良かったなと思ったから、そのままごく自然に、口から
『良かったね。』
と言葉が溢れた。
『うん。ありがとう。』
『美月ちゃん。忍葉ちゃんが起きたから、僕は、先生を呼んでくるよ。』
『うん。お願いします。』
返事をする美月の顔を愛おしそうに見つめてから、私の方に顔を向けて、
『忍葉ちゃん、今度、ゆっくり挨拶させて貰いますね。』
と言うと、颯爽と病室を出て行った。
出て行く後ろ姿を見送りながら、
『花王子は、花姫に会った瞬間から、溺愛するってホントなのね。』
と思わず呟いた。
『何を言ってるの。お姉ちゃん。』
美月は顔を真っ赤にして言った。
『だって…ね。』
と同意を求めて龍咲さんを見る。
『はい。藍連様の美月様を見る目は、愛おしさが、溢れ落ちてきそうですからね。』
『ほら、ね。』
美月は、顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
龍咲さんが、微笑ましそうに、そんな美月を見てた。
『それで、私は、倒れて…、えっ?今、何時?お母さんと美咲は?それから服‼︎』
いきなりの知らない男の人の登場に、吹き飛んでた目覚めた時の驚きが戻ってきた。
私の言葉に美月も、私が倒れていた時を思い出したのか?
興奮気味に話し出した。
『胸を押さえて苦しみ出したと思ったら、バタンって倒れて…動かなくなったの‼︎
凄いビックリしたんだよ。死んじゃったかと思った。
救急車が来て搬送されて、処置室にお姉ちゃんが運ばれてる間、ピクリとも、動かなくて。処置室の前で待ってたら、今度は、処置室の中が騒がしくなって。』
『目を覚ましたら、急にお吐きになられた様で。それで、処置後に、看護師さんが着替えを。』
『お母さんと、お姉ちゃんは、翔さんが来たから、家族用の待合室にいるよ。』
と交互に話す龍崎さんと美月の言葉を聞いていると、朧げに記憶が蘇ってきた。
『心配をかけて…迷惑かけて…ごめんなさい。』
『目を覚まされて良かったです。』
『ホント良かった。お姉ちゃんが居なくなるかも…って思ったら、一人ぼっちになると思って恐かった。』
『一人ぼっちって…、美月には、家族も、友達だって居るじゃない。今は、愛蓮さんも。』
『血の通った家族は、居る。だけど、血が通って、家族って言えるのは、お姉ちゃんだけだよ。
お姉ちゃんが処置室から出るのを待っている間にそう思った。』
『お姉ちゃん以外の人たちは、気持ちが全く通じないもの。気持ちを押し付けてきて、まともな会話すら出来ないじゃない。』
美月の言葉を聞いて、それは、私も同じだと思った。
美月が居なくなったら、私こそ、一人ぼっちなんだと思った。
『愛蓮様が一緒に居てくれなかったら、私、恐くて耐えられなかった。』
僅か数時間で美月がこんな風に言うなんて…
花王子と花姫の繋がりは想像以上だと思った。
『心配かけて本当に、ごめんね。花紋が現れて良かったね。』
美月はもう一人じゃない。そのことは、良かったと思った。だけど、胸が少し痛かった。
『本当‼︎花姫なんて絶対嫌って、ちょっと前まで思ってたのに。』
幸せそうに美月が言った。
『で、今、何時?』
『5時半ですね。』
『えっ?もうそんな時間なの?』
『もう帰らないと、夕飯の支度しなきゃ。』
『何を言っているの?病室に運ばれて来てからも、2時間以上、お姉ちゃん、目を覚まさなかったんだよ。入院だよ。入院。』
『えっ?そんな大袈裟な。』
『倒れたんだよ。それも、ピクリともしなかったんだから。
全然、大袈裟じゃないから。』
余程、ショックだったのか顔を真っ赤にして美月は訴えた。
……あれ?いつの間に帰ってきたのかな?
周りを見回す。
寝てたんだ…アレ?見慣れない部屋に、家じゃないと気づいて、驚いてガバッと起き上がった。
『えっ‼︎』
着ているものが変わっていることに気づいて驚いた。
『お姉ちゃん。』
美月が駆け寄ってきた。
『目が覚めた?お姉ちゃん、私、わかる?』
『美月でしょ。えっと、ここ何処?』
『桜坂総合病院です。祈祷が始まって、数分後、祝詞奏上の途中、急に胸を押さえて苦しみ出されまして。』
美月は、私の様子を見て、心底ホッとしたみたいに見えた。
ベッドの脇の椅子に座った。
そして、その横に見知らぬ男の人が立った。
顔立ちが整いすぎるほど、整っているし、雰囲気が独特だから神獣人だろうけど…
『えっと…誰?』
『お姉ちゃん、あのね、さっきの祈祷で、私、花紋が現れて…。花姫だったの私。
それで、彼が花王子の朱雀門 藍蓮様。』
『そう…。えっと…良かったね。でいいの?』
『えっ?』
『美月は、花姫になりたくないって言ってたから。こないだは、ちょっとなってもいいかも…とは言ってたけど、
美月にとって花姫になったことは、良いことだったのかなと思って。』
『あっ、うん。』
そう言って美月は、隣の愛蓮様を見上げて、
『良かったよ。』
と言ってちょっと照れくさそうに笑った。
頬がほんのりピンクだった。
美月のその表情を見て良かったなと思ったから、そのままごく自然に、口から
『良かったね。』
と言葉が溢れた。
『うん。ありがとう。』
『美月ちゃん。忍葉ちゃんが起きたから、僕は、先生を呼んでくるよ。』
『うん。お願いします。』
返事をする美月の顔を愛おしそうに見つめてから、私の方に顔を向けて、
『忍葉ちゃん、今度、ゆっくり挨拶させて貰いますね。』
と言うと、颯爽と病室を出て行った。
出て行く後ろ姿を見送りながら、
『花王子は、花姫に会った瞬間から、溺愛するってホントなのね。』
と思わず呟いた。
『何を言ってるの。お姉ちゃん。』
美月は顔を真っ赤にして言った。
『だって…ね。』
と同意を求めて龍咲さんを見る。
『はい。藍連様の美月様を見る目は、愛おしさが、溢れ落ちてきそうですからね。』
『ほら、ね。』
美月は、顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
龍咲さんが、微笑ましそうに、そんな美月を見てた。
『それで、私は、倒れて…、えっ?今、何時?お母さんと美咲は?それから服‼︎』
いきなりの知らない男の人の登場に、吹き飛んでた目覚めた時の驚きが戻ってきた。
私の言葉に美月も、私が倒れていた時を思い出したのか?
興奮気味に話し出した。
『胸を押さえて苦しみ出したと思ったら、バタンって倒れて…動かなくなったの‼︎
凄いビックリしたんだよ。死んじゃったかと思った。
救急車が来て搬送されて、処置室にお姉ちゃんが運ばれてる間、ピクリとも、動かなくて。処置室の前で待ってたら、今度は、処置室の中が騒がしくなって。』
『目を覚ましたら、急にお吐きになられた様で。それで、処置後に、看護師さんが着替えを。』
『お母さんと、お姉ちゃんは、翔さんが来たから、家族用の待合室にいるよ。』
と交互に話す龍崎さんと美月の言葉を聞いていると、朧げに記憶が蘇ってきた。
『心配をかけて…迷惑かけて…ごめんなさい。』
『目を覚まされて良かったです。』
『ホント良かった。お姉ちゃんが居なくなるかも…って思ったら、一人ぼっちになると思って恐かった。』
『一人ぼっちって…、美月には、家族も、友達だって居るじゃない。今は、愛蓮さんも。』
『血の通った家族は、居る。だけど、血が通って、家族って言えるのは、お姉ちゃんだけだよ。
お姉ちゃんが処置室から出るのを待っている間にそう思った。』
『お姉ちゃん以外の人たちは、気持ちが全く通じないもの。気持ちを押し付けてきて、まともな会話すら出来ないじゃない。』
美月の言葉を聞いて、それは、私も同じだと思った。
美月が居なくなったら、私こそ、一人ぼっちなんだと思った。
『愛蓮様が一緒に居てくれなかったら、私、恐くて耐えられなかった。』
僅か数時間で美月がこんな風に言うなんて…
花王子と花姫の繋がりは想像以上だと思った。
『心配かけて本当に、ごめんね。花紋が現れて良かったね。』
美月はもう一人じゃない。そのことは、良かったと思った。だけど、胸が少し痛かった。
『本当‼︎花姫なんて絶対嫌って、ちょっと前まで思ってたのに。』
幸せそうに美月が言った。
『で、今、何時?』
『5時半ですね。』
『えっ?もうそんな時間なの?』
『もう帰らないと、夕飯の支度しなきゃ。』
『何を言っているの?病室に運ばれて来てからも、2時間以上、お姉ちゃん、目を覚まさなかったんだよ。入院だよ。入院。』
『えっ?そんな大袈裟な。』
『倒れたんだよ。それも、ピクリともしなかったんだから。
全然、大袈裟じゃないから。』
余程、ショックだったのか顔を真っ赤にして美月は訴えた。