美咲たちの話も終わっていたようで、
龍咲さんが、合流してすぐ、花姫会の方たちは、帰って行った。
リビングに戻って来るなり、
美咲は、キッチンに来て、
『お姉ちゃん。今日、花姫会館に行ってたら、中央区菅内の、空いてる家の話ができたんだからね‼︎お姉ちゃんのせいで。
予定が狂ってばっかり。
明後日は、絶対、吐かないでよ。』
と捲し立てた。
『私は、もう花姫様なんだからね。
お姉ちゃん。ちゃんと話し聞いてた?
花姫様は本当に、これ以上ないほど大切にされて、周りからとっても気を遣われるのよ。
私の足を引っ張ることもうしないでよね‼︎
わかった、お姉ちゃん。』
『それくらいにしなさい。美咲。
美咲は花姫なんだから、忍葉なんかもう、相手にしてはいけないわ。』
『忍葉。美咲と話があるから、居間に、
コーヒーと、アイスミルクティーでいい?美咲。』
『いいよ。今日は、甘めね。疲れちゃったから。』
『忍葉。俺は発泡酒とツマミなんか出してくれ。』
『じゃ、それ持ってきて。お父さんのも出してあげてね。』
『はい。』
『夕飯、早くしてね。美月、悪いけど、忍葉、手伝ってあげて。あの子、鈍臭いから。』
『言われなくてもやってるから。』
『そうだったわね。ごめん。ごめん。美月は、本当、反抗期ねー。』
『なんでも反抗期にして‼︎』
と小さく吐き出すように美月は言ったけど、
お母さんには、全く聞こえていないようたった。
『キャー。これ凄く可愛い。』
という美咲の大きな声が聞こえた。
居間に行った美咲が、花姫会会長 柘榴様だったかな?が、私に用意したという洋服の入った袋を、開けていたようだ。
桜色のブラウスと、新緑の若葉のような色に、舞うように桜の花が入ってるスカートを身体にあてて、お母さんに見せている。
『この色、美咲に似合っているわね〜。』
とお母さんは満面の笑顔。
美咲がブラウスとスカートを手に、キッチンにやってきた。
『ねぇ。ねぇ。おねぇちゃ〜ん。これ、私に頂戴。
お姉ちゃんは、美月に借りたワンピース来ていけばいいんだから、いいよね。
こんな可愛いのお姉ちゃんが着たって見劣りするだけよ。だからね、いいでしょ。』
『美咲が気に入ったならいいよ。』
折角、用意して下さったのに、申し訳ないけど、何を言っても無駄なことをよく知っているから、諦めることにした。
何かを欲しがっても仕方ない。
手になんか入らないのだから。
『ヤッター。ありがとうお・ね・え・ちゃん。』
『お姉ちゃんたら、折角、花姫会の人が、
気を遣って用意してくれたのに、自分じゃ見劣りするから着れないって言うんだもん。
仕方ないわよね。勿体ないから着てあげるね。』
そう言ってわ美咲は、居間まで駆けて戻って行った。
美咲の言葉を聞いて、私が頂いた服を着ない理由を、お母さんは、こういう感じに花姫会の人に説明するんだろうなと思った。
自分の思いとは全く違う私が、花姫会の人たちにとっての私になる日も、すぐやってくるんだろう。
そう思うとなんだか堪らなくなった。
そんな私を置いて、美咲は、楽しげにお母さんと話し始めた。
『お母さん、私が、これを着ているところを見たら、翔なんていうかな?』
『美咲によく似合ってるって、きっと褒めてくれるわよ。』
『あー、早く美月とお姉ちゃんの花姫の確認終わらないかな〜。姉妹が花姫か、花姫じゃないかハッキリしたら、翔とゆっくりデートできるよね。』
『そうね。千景さんの話しだと、千虎家のご両親は、かなり美月たちが、花姫かどうかを気にされてる感じだったからね。
それが、ハッキリしたら、中央区に引っ越す話がトントンと進みそうね。』
『内覧する時、これ着て行こう。』
美月が
『はあ〜。』
という大きな溜息を吐いてから、
調理台をバンッと叩いて、居間の方へ駆けていった。
『美咲、いい加減にしなさいよ。
お姉ちゃんのものを勝手に開けて自分の物にして。』
『家族なんだからいいでしょ。
それに、くれるって言ってたでしょ。お姉ちゃん。美月だって聞いてたでしょ。』
『言わせただけでしょ。それに家族って、都合の良い時だけ使うの辞めなさいよ。』
『えっ。お姉ちゃんは、そ・う・ゆ・う家族でしょ。』
『何言ってるの。美咲。自分の家族をそんな扱いして恥ずかしくないの?』
『なんで私が恥ずかしいのよ。恥ずかしいのは、そんな扱いされるしかない欠陥品のお姉ちゃんの方でしょ。』
『本気でそんなこと思ってるの?』
『おい。喧嘩するなよ。お前たちは、昨日から、顔を合わせば喧嘩ばっかりしてるな。
美月、美咲は、花姫なんだ。美咲に口を出すんじゃない。』
『何よそれ…。』
美月が小さく呟いた。
美咲は、美月を見て、ニヤッと嬉しそうに笑った。
『そうよ。美月。美咲と美月は、選ばれた子なのよ。忍葉とは、違うんだから。
美月も、もうすぐ花姫になるんだから、そろそろ自覚しないと。』
『もう、みんなして何を言っているの…。
お母さんも、お父さんも、美咲も、
今日の千景さんの話、聞いてなかったの?
神獣人は、礼を失するような態度をとる人を嫌うのよ。
花姫会会長が直々に用意したって言ったものを取って着ていいわけないでしょ。
美咲を、今のまま、我儘三昧させてたら、神獣人に相手にされなくなるわよ。』
『何を言ってるのよ。美月。
私は、神獣人一族にとって、すっごく特別な存在の花姫様なのよ。
その私が相手にされなくなるわけないでしょ。脅すにしても、もう少しまともなことを言いなさいよ。』
『美月は、まだまたまた、子どもね。
世の中は、不公平なのよ。
千景さんは、選ばれていない、分を弁えなきゃいけない立場の人の話しをしていたのよ。
美咲は、皆んなが分を弁えて丁寧に接する選ばれた花姫なのよ。
花姫会会長って言っても、ただの神獣人でしょ。花姫の美咲に何も言えないわよ。』
『そうだぞ。美月。美咲は、花姫なんだ。今までとはもう違うんだ。
わかったら、美咲を相手にもう喧嘩をするな。この話は終わりだ。わかったな。』
『忍葉、まだ、夕飯できないのか?』
『もうすぐ、できる。』
言葉を無くして立ち尽くしていた美月が、
『……なんで皆んなわからないのよ。』
と小さな声でそう呟いてリビングを出て行った。
『忍葉。今日の夕飯はなんだ?』
『カレーとサラダ。』
『お姉ちゃんは、時間がないと、すぐ簡単なものを作って手抜きするわよね。』
『今日は、花姫会の方が来ていたからね。夕飯、遅くなったから、仕方ないわね。』
『まあ、いいじゃないか。』
何にもしない人たちが好き勝手なことを言っているのを、聞こえないフリをして、料理を続けた。
美月がリビングから居なくなっていることに気づいた。
配膳を始めたから、声をかけようとキッチンから、リビングを見たら、お母さんと美咲は、まだ、居間で話をしていた。
何をそんなに話すことがあるんだろう?
と思いながら、
『夕飯できたよ。』
と声を掛けると、お母さんも、お父さんも、
美月が居ないことにやっと気づいたみたいだった。
『また、美月は、部屋か‼︎』
『皆んなに美咲は花姫だからって言われて、拗ねたんでしょ。ほんと、あの子はまだまだ、子どもなのね。仕方ないわね。
忍葉。後は、私がやるから、美月を呼んで来て頂戴。』
『お父さんは、もうカレー食べる?まだ、晩酌中?』
後をお母さんに任せて、リビングを出て、2階へ向かった。
リビングを出ると、溜息が出た。
はぁ。これから毎日、こんな感じかと思うと気が遠くなりそうだった。
ノックをして、
『美月。カレー出来たよ。』
と声を掛けた。
『わかった行く。』
とだけ美月は言った。
大丈夫かと声を掛けようかと思ったけど、辞めて置いた。
リビングに戻ると、お母さんたちは、もう食べ始めていた。
今日も、夕飯の席は、美咲の独壇場だった。
花姫会の話をきいたせいか?昨日より、酷かったくらいだ。
美月は、千景さんの話を聞いて、花姫側はどうなのか?という視点があるのに、
どうして美咲は、自分には、何の責任も無いとばかりに自分がして貰う側ばかりを口にするのか?不思議で仕方なくて、話を聞きながらそればかり考えてしまった。
美月は、昨日、同様、口の中に放り込むようにサッサと食べ終えると、
『ご馳走様。』
とすぐ、部屋へ戻って行った。
『あ〜あ、美月ったら、完全に拗ねちゃった。』
『仕方ないわね。明後日、花姫だとわかれば、きっと美月の機嫌も良くなるから、それまでそっとしときましょう。』
『あー、そうだな。』
相変わらずのお母さんたちの様子に、この先どうなっていくのかを考え、心がどんどん重くなっていった。
龍咲さんが、合流してすぐ、花姫会の方たちは、帰って行った。
リビングに戻って来るなり、
美咲は、キッチンに来て、
『お姉ちゃん。今日、花姫会館に行ってたら、中央区菅内の、空いてる家の話ができたんだからね‼︎お姉ちゃんのせいで。
予定が狂ってばっかり。
明後日は、絶対、吐かないでよ。』
と捲し立てた。
『私は、もう花姫様なんだからね。
お姉ちゃん。ちゃんと話し聞いてた?
花姫様は本当に、これ以上ないほど大切にされて、周りからとっても気を遣われるのよ。
私の足を引っ張ることもうしないでよね‼︎
わかった、お姉ちゃん。』
『それくらいにしなさい。美咲。
美咲は花姫なんだから、忍葉なんかもう、相手にしてはいけないわ。』
『忍葉。美咲と話があるから、居間に、
コーヒーと、アイスミルクティーでいい?美咲。』
『いいよ。今日は、甘めね。疲れちゃったから。』
『忍葉。俺は発泡酒とツマミなんか出してくれ。』
『じゃ、それ持ってきて。お父さんのも出してあげてね。』
『はい。』
『夕飯、早くしてね。美月、悪いけど、忍葉、手伝ってあげて。あの子、鈍臭いから。』
『言われなくてもやってるから。』
『そうだったわね。ごめん。ごめん。美月は、本当、反抗期ねー。』
『なんでも反抗期にして‼︎』
と小さく吐き出すように美月は言ったけど、
お母さんには、全く聞こえていないようたった。
『キャー。これ凄く可愛い。』
という美咲の大きな声が聞こえた。
居間に行った美咲が、花姫会会長 柘榴様だったかな?が、私に用意したという洋服の入った袋を、開けていたようだ。
桜色のブラウスと、新緑の若葉のような色に、舞うように桜の花が入ってるスカートを身体にあてて、お母さんに見せている。
『この色、美咲に似合っているわね〜。』
とお母さんは満面の笑顔。
美咲がブラウスとスカートを手に、キッチンにやってきた。
『ねぇ。ねぇ。おねぇちゃ〜ん。これ、私に頂戴。
お姉ちゃんは、美月に借りたワンピース来ていけばいいんだから、いいよね。
こんな可愛いのお姉ちゃんが着たって見劣りするだけよ。だからね、いいでしょ。』
『美咲が気に入ったならいいよ。』
折角、用意して下さったのに、申し訳ないけど、何を言っても無駄なことをよく知っているから、諦めることにした。
何かを欲しがっても仕方ない。
手になんか入らないのだから。
『ヤッター。ありがとうお・ね・え・ちゃん。』
『お姉ちゃんたら、折角、花姫会の人が、
気を遣って用意してくれたのに、自分じゃ見劣りするから着れないって言うんだもん。
仕方ないわよね。勿体ないから着てあげるね。』
そう言ってわ美咲は、居間まで駆けて戻って行った。
美咲の言葉を聞いて、私が頂いた服を着ない理由を、お母さんは、こういう感じに花姫会の人に説明するんだろうなと思った。
自分の思いとは全く違う私が、花姫会の人たちにとっての私になる日も、すぐやってくるんだろう。
そう思うとなんだか堪らなくなった。
そんな私を置いて、美咲は、楽しげにお母さんと話し始めた。
『お母さん、私が、これを着ているところを見たら、翔なんていうかな?』
『美咲によく似合ってるって、きっと褒めてくれるわよ。』
『あー、早く美月とお姉ちゃんの花姫の確認終わらないかな〜。姉妹が花姫か、花姫じゃないかハッキリしたら、翔とゆっくりデートできるよね。』
『そうね。千景さんの話しだと、千虎家のご両親は、かなり美月たちが、花姫かどうかを気にされてる感じだったからね。
それが、ハッキリしたら、中央区に引っ越す話がトントンと進みそうね。』
『内覧する時、これ着て行こう。』
美月が
『はあ〜。』
という大きな溜息を吐いてから、
調理台をバンッと叩いて、居間の方へ駆けていった。
『美咲、いい加減にしなさいよ。
お姉ちゃんのものを勝手に開けて自分の物にして。』
『家族なんだからいいでしょ。
それに、くれるって言ってたでしょ。お姉ちゃん。美月だって聞いてたでしょ。』
『言わせただけでしょ。それに家族って、都合の良い時だけ使うの辞めなさいよ。』
『えっ。お姉ちゃんは、そ・う・ゆ・う家族でしょ。』
『何言ってるの。美咲。自分の家族をそんな扱いして恥ずかしくないの?』
『なんで私が恥ずかしいのよ。恥ずかしいのは、そんな扱いされるしかない欠陥品のお姉ちゃんの方でしょ。』
『本気でそんなこと思ってるの?』
『おい。喧嘩するなよ。お前たちは、昨日から、顔を合わせば喧嘩ばっかりしてるな。
美月、美咲は、花姫なんだ。美咲に口を出すんじゃない。』
『何よそれ…。』
美月が小さく呟いた。
美咲は、美月を見て、ニヤッと嬉しそうに笑った。
『そうよ。美月。美咲と美月は、選ばれた子なのよ。忍葉とは、違うんだから。
美月も、もうすぐ花姫になるんだから、そろそろ自覚しないと。』
『もう、みんなして何を言っているの…。
お母さんも、お父さんも、美咲も、
今日の千景さんの話、聞いてなかったの?
神獣人は、礼を失するような態度をとる人を嫌うのよ。
花姫会会長が直々に用意したって言ったものを取って着ていいわけないでしょ。
美咲を、今のまま、我儘三昧させてたら、神獣人に相手にされなくなるわよ。』
『何を言ってるのよ。美月。
私は、神獣人一族にとって、すっごく特別な存在の花姫様なのよ。
その私が相手にされなくなるわけないでしょ。脅すにしても、もう少しまともなことを言いなさいよ。』
『美月は、まだまたまた、子どもね。
世の中は、不公平なのよ。
千景さんは、選ばれていない、分を弁えなきゃいけない立場の人の話しをしていたのよ。
美咲は、皆んなが分を弁えて丁寧に接する選ばれた花姫なのよ。
花姫会会長って言っても、ただの神獣人でしょ。花姫の美咲に何も言えないわよ。』
『そうだぞ。美月。美咲は、花姫なんだ。今までとはもう違うんだ。
わかったら、美咲を相手にもう喧嘩をするな。この話は終わりだ。わかったな。』
『忍葉、まだ、夕飯できないのか?』
『もうすぐ、できる。』
言葉を無くして立ち尽くしていた美月が、
『……なんで皆んなわからないのよ。』
と小さな声でそう呟いてリビングを出て行った。
『忍葉。今日の夕飯はなんだ?』
『カレーとサラダ。』
『お姉ちゃんは、時間がないと、すぐ簡単なものを作って手抜きするわよね。』
『今日は、花姫会の方が来ていたからね。夕飯、遅くなったから、仕方ないわね。』
『まあ、いいじゃないか。』
何にもしない人たちが好き勝手なことを言っているのを、聞こえないフリをして、料理を続けた。
美月がリビングから居なくなっていることに気づいた。
配膳を始めたから、声をかけようとキッチンから、リビングを見たら、お母さんと美咲は、まだ、居間で話をしていた。
何をそんなに話すことがあるんだろう?
と思いながら、
『夕飯できたよ。』
と声を掛けると、お母さんも、お父さんも、
美月が居ないことにやっと気づいたみたいだった。
『また、美月は、部屋か‼︎』
『皆んなに美咲は花姫だからって言われて、拗ねたんでしょ。ほんと、あの子はまだまだ、子どもなのね。仕方ないわね。
忍葉。後は、私がやるから、美月を呼んで来て頂戴。』
『お父さんは、もうカレー食べる?まだ、晩酌中?』
後をお母さんに任せて、リビングを出て、2階へ向かった。
リビングを出ると、溜息が出た。
はぁ。これから毎日、こんな感じかと思うと気が遠くなりそうだった。
ノックをして、
『美月。カレー出来たよ。』
と声を掛けた。
『わかった行く。』
とだけ美月は言った。
大丈夫かと声を掛けようかと思ったけど、辞めて置いた。
リビングに戻ると、お母さんたちは、もう食べ始めていた。
今日も、夕飯の席は、美咲の独壇場だった。
花姫会の話をきいたせいか?昨日より、酷かったくらいだ。
美月は、千景さんの話を聞いて、花姫側はどうなのか?という視点があるのに、
どうして美咲は、自分には、何の責任も無いとばかりに自分がして貰う側ばかりを口にするのか?不思議で仕方なくて、話を聞きながらそればかり考えてしまった。
美月は、昨日、同様、口の中に放り込むようにサッサと食べ終えると、
『ご馳走様。』
とすぐ、部屋へ戻って行った。
『あ〜あ、美月ったら、完全に拗ねちゃった。』
『仕方ないわね。明後日、花姫だとわかれば、きっと美月の機嫌も良くなるから、それまでそっとしときましょう。』
『あー、そうだな。』
相変わらずのお母さんたちの様子に、この先どうなっていくのかを考え、心がどんどん重くなっていった。