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紫紺様は、しっかり中まで入り、私をベッドに寝かせて、頭を撫でて、

『ちゃんと休め。』
と言ってから出て行った。

そのままぼんやりしているうちに、眠っていた。

目を覚ましたら、
「あー、本当だ。私、疲れていた。」
と思った。

顔を洗って、スッキリしたら、美月やお祖母ちゃん、紗代ちゃんたちに連絡していないことに気づいた。

環境が変わって、緊張というか、気が張って昂っていて気付かなかったけど、ここ数日、大変だったから疲れていたんだなと思った。

紫紺様はどうしてわかったんだろう?
後で、聞いてみようと思った。

お祖母ちゃんと紗代ちゃんに、昨日、紫紺様の家に無事について、ご両親に挨拶もしたし、皆優しいから心配いらないと電話を入れた。

安心したみたいだった。

その後で、美月に電話をすると、凄いスピードで、電話に出た。

お母さんたちが、お祖父ちゃんの家に来たことも、私が紫紺様の家に来たことや、美咲の花紋が消えたことも、藍蓮様や柘榴様から聞いたみたいで知っていたみたいで、

心配だけど、大変なんだろうなと電話が来るのを待っていたらしい。

『夜までに来なかったら電話しようと思ってた。紫紺様の家はどう?』

『えっと、柘榴様の家とそう変わらない。大きい家で、使用人が一杯いて、でも、みんな優しそう。』

『そりゃぁ。そうよ。お姉ちゃん花姫なんだから。』

『そうなのかな?キッチンを紫紺様が用意してくれたから、料理長の人と今日、相談して…

『えっ。お姉ちゃん、キッチンって、料理してるの?』

『えっと、料理ができるようにダイニングにキッチンを作ってくれていたから、少し料理もさせて貰うつもり。朝は、味噌汁とだし巻き玉子作ったし…。味噌汁は、

『食べたい‼︎お姉ちゃんの作ったご飯食べたい‼︎あ〜、どうしよう‼︎お姉ちゃん、今日、何か作る?っていうか作って、味噌汁飲みたい。だし巻き玉子も、あと、ポテトサラダと、酢豚と、肉じゃがと、あっ、唐揚げも食べたいし…。オクラも食べたい。それから、』

『ちょ、ちょっと待って⁈……どうしたの美月。』

『お姉ちゃん、あのね。…柘榴様の家の食事は美味しいし、不満があるわけじゃないけど、なんか違う…、
なんか足りないと言うか?
よくわからないけど、
とにかくお姉ちゃんの作ったご飯が食べたい。今日、食べに行っていい?』

私の作るご飯を食べない禁断症状みたいに聞こえるけど、そんなのあるの?
でも、なんか美月必死そうだし…、

『そんなに言うなら、紫紺様と、白銀さんに聞いてみる。藍蓮様や柘榴様は?いきなり出かけて大丈夫なの?』

『聞く。聞いたら電話する。』

そう言うとプツンと電話が切れた。

なんだったんだろう…。

とにかく、紫紺様にまず、聞かなきゃ。

あっ、その前に、部屋着に着替えなきゃ。

洋服のまま寝ちゃった。あーあ。
と思いながら、身支度を整えて、紫紺様の部屋の前まで来た。

ノックをして、
『忍葉です。』
と言ったら、すぐドアを開けてくれた。

事情を説明したら、

『疲れてたみたいだったけど、忍葉は、もういいのか?』

『うん。眠ったら、楽になった。何で紫紺様は疲れてるってわかったの?私、気づかなかったのに。』

『いつもとちょっと違ったから。』

『それだけ?』

『ああ。』

それじゃ全然、わからない…と思いながら、

『いい?』
と聞いたら、

『あんまり無理するなよ。』
と言った。

『うん。わかった。』

『それで、何を作るんだ?』

『わからない。美月に聞いてみる。』

その時、スマホが鳴った。

『藍蓮様がいいって。今から行くから。』

『ちょっと待って‼︎美月、一番食べたい。メインとサブを言って。』

『唐揚げ甘辛に絡めてあるやつね。それとポテトサラダ』

やっぱりそういうことかなと思うことがあった。

『紫紺様、今から、材料貰いに行って邪魔じゃない?』

『ここはもう忍葉の家だ。そんなことを一々、気にしなくていい。一緒に行くぞ。』

『うん。』