♢♢♢♢♢
家に帰ると、紫紺様の部屋に連れて行ってくれた。
私をソファに座らせると、
『ちょっと待ってろ。』
と言って、仕事机の引き出しから、何か袋を取り出して戻ってきた。
『これだ。』
素っ気なく言って、無造作に渡してきたものを受け取った。
『中を見ていいの?』
『ああ。』
何だろうと思って袋の中を覗くと、手紙?
あっ、美郷様が言ってたメッセージカードだと気付いて、一気に中身をテーブルの上に出した。
紐で縛って丁寧に束ねてある色や形が様々なメッセージカードの束がポロッと出てきた。
紐を解こうとしたら、
『下から古い。』
と紫紺様が言った。
紐を解いて、一個、一個、カードを手に取ってみた。どれも可愛いカードだった。
下から古いなら、一番下は、私が生まれた時?
束をひっくり返してみる。
天使の絵がついた白いバースデーカードだった。
『中を見ていいの?』
『ああ。』
ドキドキしながらカードを開くと、バースデーソングが鳴って、桜の木の写真が挟んであった。
子どもの字でメッセージが書いてあった。
夢中になって、順番にカードを開いていった。
カードは全部で17枚あった。
どれにも桜の写真が挟んであった。
一枚読む毎に、漢字が増え、字が綺麗になって行くのがわかった。
5行くらいのメッセージは紫紺様らしい素っ気ない文章だった。
だけど、さっき桜の木の側で話してくれたことが書いてあった。
本当にずっとあの桜と一緒に、待っていたんだと実感した。
どうしても、紫紺様の花紋が胸にあるのを確認したくなった私は、恥ずかしさも何もかも吹き飛んで、
『紫紺様、花紋見たい。見せて。』
と言っていた。
紫紺様は、着ていたシャツのボタンを外して脱ぐと、中のシャツも脱いで見せてくれた。
本当に私にあるのと同じ番の花紋が、紫紺様の胸にあった。
これが消えることがある…そう思ったら、耐えられないと思った。
知らないうちに花紋を指でなぞっていた。
愛おしくて堪らなかった。
ふいに、紫紺様が、
『忍葉、もう駄目だ。我慢できない。くすぐったい。』
と言った。
『えっ‼︎』
と思って顔を上げたら、すぐ近くに紫紺様の顔があった。
『わあっ。』
っと後ろに飛び退いてから、自分のしていたことを思い出して顔が熱くなった。
『忍葉は時々、夢中になると大胆になるな。』
そう言って笑うと、
『ちょっと待ってろ。』
と言って、頭をポンポンと優しく叩くと、奥の部屋に入っていった。
私は真っ赤になったまま、呆けて座っていた。
紫紺様が、作務衣を着て戻ってきた。
『もう今日は、出かけないからな。この方が楽だし、いつでも、花紋を見せられるぞ。』
と私をチラッと見て、揶揄うように笑った。
恥ずかしさにプシュ〜っと小さくなってしまいたかった。
『さあ、忍葉。お昼を過ぎてる。ご飯にしよう。』
と部屋を出て行こうとした。
慌ててついて行こうとして、
『あっ、待って。カード。カードしまわなきゃ。』
カードを束ねて、元のように紐で縛るのを見ていた紫紺様が、
『流石に、誕生カードの束は、重過ぎて引かれるかと思って、内緒にしていた。』
とぼそっと呟いた。
そうだったんだ…。美郷様がポロっと口を滑らせてくれなかったら、知らないままだったのか…。
『美郷様には感謝しないとね。』
『カードより、花紋の存在が重いと思う。
花紋がなくなるなんて…考えただけで、胸が締め付けられるもの。カードは、嬉しかった。部屋にしまってくるね。』
『えっ‼︎忍葉の部屋に持って行くのか?』
『…私にくれたんじゃないの?』
『いや。いつか忍葉に、渡すために書いたんだ。だけど、自分の手元から無くなる日が本当に来ると変な感じだな。』
そういうものかもしれないなと思いつつ、もうこれは誰がなんと言おうと私のだ。
『もうこれは私の宝物だから、絶対、返しません‼︎』
と取られないように胸にひしっと抱いて言うと、
『そうか。』
と言って紫紺様が笑った。
思わず見惚れてしまった。
家に帰ると、紫紺様の部屋に連れて行ってくれた。
私をソファに座らせると、
『ちょっと待ってろ。』
と言って、仕事机の引き出しから、何か袋を取り出して戻ってきた。
『これだ。』
素っ気なく言って、無造作に渡してきたものを受け取った。
『中を見ていいの?』
『ああ。』
何だろうと思って袋の中を覗くと、手紙?
あっ、美郷様が言ってたメッセージカードだと気付いて、一気に中身をテーブルの上に出した。
紐で縛って丁寧に束ねてある色や形が様々なメッセージカードの束がポロッと出てきた。
紐を解こうとしたら、
『下から古い。』
と紫紺様が言った。
紐を解いて、一個、一個、カードを手に取ってみた。どれも可愛いカードだった。
下から古いなら、一番下は、私が生まれた時?
束をひっくり返してみる。
天使の絵がついた白いバースデーカードだった。
『中を見ていいの?』
『ああ。』
ドキドキしながらカードを開くと、バースデーソングが鳴って、桜の木の写真が挟んであった。
子どもの字でメッセージが書いてあった。
夢中になって、順番にカードを開いていった。
カードは全部で17枚あった。
どれにも桜の写真が挟んであった。
一枚読む毎に、漢字が増え、字が綺麗になって行くのがわかった。
5行くらいのメッセージは紫紺様らしい素っ気ない文章だった。
だけど、さっき桜の木の側で話してくれたことが書いてあった。
本当にずっとあの桜と一緒に、待っていたんだと実感した。
どうしても、紫紺様の花紋が胸にあるのを確認したくなった私は、恥ずかしさも何もかも吹き飛んで、
『紫紺様、花紋見たい。見せて。』
と言っていた。
紫紺様は、着ていたシャツのボタンを外して脱ぐと、中のシャツも脱いで見せてくれた。
本当に私にあるのと同じ番の花紋が、紫紺様の胸にあった。
これが消えることがある…そう思ったら、耐えられないと思った。
知らないうちに花紋を指でなぞっていた。
愛おしくて堪らなかった。
ふいに、紫紺様が、
『忍葉、もう駄目だ。我慢できない。くすぐったい。』
と言った。
『えっ‼︎』
と思って顔を上げたら、すぐ近くに紫紺様の顔があった。
『わあっ。』
っと後ろに飛び退いてから、自分のしていたことを思い出して顔が熱くなった。
『忍葉は時々、夢中になると大胆になるな。』
そう言って笑うと、
『ちょっと待ってろ。』
と言って、頭をポンポンと優しく叩くと、奥の部屋に入っていった。
私は真っ赤になったまま、呆けて座っていた。
紫紺様が、作務衣を着て戻ってきた。
『もう今日は、出かけないからな。この方が楽だし、いつでも、花紋を見せられるぞ。』
と私をチラッと見て、揶揄うように笑った。
恥ずかしさにプシュ〜っと小さくなってしまいたかった。
『さあ、忍葉。お昼を過ぎてる。ご飯にしよう。』
と部屋を出て行こうとした。
慌ててついて行こうとして、
『あっ、待って。カード。カードしまわなきゃ。』
カードを束ねて、元のように紐で縛るのを見ていた紫紺様が、
『流石に、誕生カードの束は、重過ぎて引かれるかと思って、内緒にしていた。』
とぼそっと呟いた。
そうだったんだ…。美郷様がポロっと口を滑らせてくれなかったら、知らないままだったのか…。
『美郷様には感謝しないとね。』
『カードより、花紋の存在が重いと思う。
花紋がなくなるなんて…考えただけで、胸が締め付けられるもの。カードは、嬉しかった。部屋にしまってくるね。』
『えっ‼︎忍葉の部屋に持って行くのか?』
『…私にくれたんじゃないの?』
『いや。いつか忍葉に、渡すために書いたんだ。だけど、自分の手元から無くなる日が本当に来ると変な感じだな。』
そういうものかもしれないなと思いつつ、もうこれは誰がなんと言おうと私のだ。
『もうこれは私の宝物だから、絶対、返しません‼︎』
と取られないように胸にひしっと抱いて言うと、
『そうか。』
と言って紫紺様が笑った。
思わず見惚れてしまった。