〇第1話シナリオ

フラック村を焼かれる。
幼少期のトラウマに悩まされるフラックは、今日も夢を見ていた。空から襲う武装集団に焼き尽くされる村々。両親の機転で床下に隠れていたものの、気が付いた時にはすべてが終わっていた。途方に暮れたフラックたち数人の少年少女に手を差し伸べたのは。朝日と共に救助に来た白銀の騎士たちであった───。

それから数年後。
命の恩人である、天空騎士団にあこがれるフラックは、入隊条件を満たすため、スキル授与式に臨んでいた。
成人になる前に、誰もがスキル授与式を受けることになるが、フラックには才能があった。それが『賢者の欠片』と呼ばれる才能とも資質ともいうべきもの。
その才能があればスキル授与の際には、どんな魔法系スキルでも授与できるという(ただし一個だけ)。
フラックは迷わず、空を飛ぶレアスキル『滞空魔法』を選択したのだが───……。フラックの才能をよく思っていないクソガキ(フラックのいる教会を後援している貴族のボンボン)の妨害によって、「たいくう─(ごきっ!!)──ほう」と、スキル授与の際に攻撃を受けて、授与に支障をきたすこととなってしまった。
幸いにもスキル授与事態は上手くいったようだが……ステータス画面を確認したフラックは絶望に襲われる。
ステータス画面に表示されたスキルは、『滞空魔法』ではなく、『対空砲』であった……。

〇第2話シナリオ

それから数年。
正体不明のスキルを得ることになったフラックは無気力なまま暮らしており、教会を出る年齢となると、なし崩し的に冒険者となる。
しかし、日々口を糊することだけで生きていたフラックはいつまでも下級冒険者のままであった。
そんな無気力な日々に、フラックがショックを受ける出来事が起こる。
幼馴染で、数年先に教会を出た少女が、成長した姿でフラックの前に現れた。彼女は白銀の鎧を着て、天空騎士団の一員となっていたのだ。
当然、フラックもあとから天空騎士団に入ってくると思っていた少女の何気ない一言にフラックはショックを受ける。
しかし、日々は無情にも過ぎ、世話を焼く幼馴染にうんざりしていた時、事件は起こった。
『天空騎士団』主力が不在時を狙って、山のドラゴンが町を襲ったのだ。慌てて迎撃に出る幼馴染であるが、不慣れな戦闘で負傷し、絶体絶命に事態に陥る。
そのピンチにフラックは奮起し彼女を助けようとするが、長年無気力に過ごしていたフラックにそんな実力もあるはずがなく、空を飛ぶドラゴンに無情にも町は蹂躙されていくのであったが───……。
フラックは、幼馴染を守るため、使う気もなかった正体不明の『対空砲』をしよう。
刹那、黄金の光と共に、現われたドイツ軍製Flak38が88mmを発射! 強大な力を誇っていたドラゴンを一瞬にして屠ってしまった───。
しかし、初めて使用したスキルのせいで、フラックは魔力を失い、失神してしまう……。


〇第3話シナリオ

街の危機を聞いて慌てて引き返してきた天空騎士団によって、事態は急速に収束した。
単身ドラゴンに立ち向かった幼馴染の活躍を誰もが見ていたため、天空騎士団の評判はうなぎ登りとなるが、団長は浮かない顔をしていた。
ドラゴン来襲の裏には、団長の思惑があったのだ。近年では辺境の村々を襲いつくして獲物らしい獲物がなくなってしまったため、活躍(?)の機会を失った天空騎士団は一計を巡らし、ドラゴンを自らの手で町の追い込んだのだ。そのまま、程よく被害が出たところで、颯爽と解決するつもりが、何者かによってドラゴンを倒されてしまい辛うじて手柄を得ることには成功した者の、それは新人の少女に奪われる形となり苦々しい思いを抱いていた。しかも、少女はなぜかドラゴンの権利を幼馴染の少年に譲ろうとする。訝しく思い、密偵を張り付けることになるのだが、その報告を通して、団長はフラックの危険性に徐々に気付いていくことになる。奴が真の力を発揮した時、自分たちは逆に狩りつくされる側になると……。
一方そんなことになっているとも知らないフラックは、突然降ってわいた経験値とお金に少しだけ自信を取り戻していた。そして未だ小隊のわからないスキル『対空砲」ではあったが、命を救われたスキルに向き合う決意をする。『滞空魔法』ではないが、このスキルにもしや可能性があるのではと───。
そうして、冒険者のクエストを通して、フラックは『対空砲』を極めていくことになる。


〇今後の展開
フラックの成長物語。
対空砲のぶっ飛び性能で次々に難敵を倒していくフラック。徐々に進化していくスキルと共に、自信を取り戻し、そして、真の敵に気付いた時、フラックは自分の過去と向き合い清算する決意をする。最強で最大の敵。天空騎士団にフラックの対空砲が火を噴く───。