キュッ、と靴がこすれる音が体育館に響く。

笑い声が絶えない体育館の中で、フットサルは行われていた。

壁にもたれかかって座る私の目は、ずっとクシャクシャの笑顔でプレーするその人に釘付けだ。

「こーのーか!」
「わっ!びっくりした~」
「なになに、また真木さんみてるのー?」

突然声をかけられて驚けば、
横にいたのは同じ学部で友人の夏未(なつみ)

私が何も言い返せずどもってしまうのを見て、
ニヤニヤ、と私の肩を小突く。

「なにその反応、かわいいな~」
「うるっさい!」
「ほら顔真っ赤だよ?」
「からかうな!!」

バシバシ、と夏未を叩くが知らん顔。

ボールを追いかける先輩たちを見て、
ふーむ、と腕を組む。

「確かにかっこいいけどなあ。私は断然青柳さん派だね。」
「かっこいいよね、それも分かる。」
「だよね!?ていうかかっこいい先輩多くない!?」

目の保養だわ、としみじみとつぶやく夏未。
・・・それは私も思う。

とてもゆるいサークルであるため全体の人数は多いが、普段活動に来るのはその中の数十人。

フットサルを楽しむ者、それ以外のスポーツをする者、おしゃべりを楽しむ者、周りは様々だ。


「あっち~・・」

ゲームが終わったのだろう。
時間終了を告げるブザーが鳴って、皆がゾロゾロと座り込む。


「あ、ずっとサボってた2人組だ。」

頭上から声が降ってきて、
顔を上げればそこにいたのは真木さん。

「サボってないですよ、休憩です休憩。」
「なんの休憩だよ。」
「・・・たくさん動いたんで?」
「立ち上がってすらないだろ。」

あちゃー、バレてたか、とおどけて笑えば、
私を小突くふりをして真木さんも笑う。


「あれ、真木さんって高校の時サッカー部だったんですっけ?」
「そう。途中までだけどね。」

夏未の質問に先輩が頷く。

「夏未ちゃんは?何かやってたんだっけ?」
「私はバスケやってました。このかと一緒!」

まあレベルは全然違いますけどね、と夏未が私の肩を小突く。

「何言ってんの。」
「だってインハイ一歩手前の強豪校でしょ。しかもスタメンだったじゃん。」
「え、そんなに強かったの!?」

驚いたように真木さんが私の方を見る。
なんとなく照れ臭くなって俯けば、その頭の上に誰かの手が置かれる。

「しかも鬼の部長でしたよ。もう怖くて怖くて。」
「いたたた!ちょっと快くん!つぶさないで!」

そのまま私の頭をグリグリと押したそいつは、
悪い悪い、と笑いながら私の隣に座る。
・・こいつ絶対悪いと思ってない。

「しかも部長だったんだ。このかちゃんが怖いの想像できないけどな~・・」
「いやもうバシバシ怒鳴ってましたもん。」

怖かった~、とおどける快を横目で睨めば、
またにやにやと笑う。

中谷快(なかたにかい)。同い年で、実は出身高校も一緒。私はバスケ部で快くんはサッカー部だったが、クラスが一緒で仲が良かった。

同じ大学を受験することはお互いに知らなくて、
サークルの見学でたまたま会いとても驚いたのが最近の話。