「茜、生徒会なににする?」
「うーん、楽なのがいいな」
ホームルーム中、今日は生徒会の委員ぎめが行われていた。
特にやりたいことも無いし、流れに任せようと思っていたのだが。
「あ。水野と橘は出版委員会で決まりな。」
「え・・・。」
予想もしていなかった先生の言葉に間抜けな声が出る。
橘くんも驚いたように先生を見つめていた。
そんな私たちの視線を受け取ってから、にっこりと満面の笑みを浮かべた先生。
「お前らだけ、この前の数学の課題出してないだろ」
・・・確かに、出してない。
でも違うのだ、数学だけはどうしてもできない私は、はるかに教えて貰ってから提出しようと思っていたのだ。
「これはもう決定だからな。意見は受け付けませーん。」
おどけて耳を塞ぐ先生にクラスから笑いが起きる。
そんなの、冗談じゃない。
出版委員会と言えば仕事が多く、誰1人やりたがる人なんていない事で有名な委員会。嘘でしょ。
「よかったねー茜。橘くんと一緒じゃん」
「え?じゃあ変わってあげようか???」
「まあ遠慮しときますけども」
笑ってからかってくる友人を小突いて橘くんの方を盗み見れば、そっちはそっちで男子に全力で弄られていた。
別に橘くんが嫌という訳では無いが、
ただ、面倒なことは本当に嫌いだ。
はあ、と小さくため息をついた。
その日の放課後、私達は早速委員会の仕事に駆り出されていた。
資料室で2人で作業する事30分。
もう関わる事はないと思っていたが、まさかこんな事で一緒になるとは。
作業が終わったのは、1時間ほど過ぎた後で。
お疲れ様、と言葉を交わし、
そのまま2人で昇降口へと向かう。
「水野さんが課題出してないなんて意外だった。」
「数学は苦手なの。橘くんは・・・そんな感じ。」
「水野さんて結構バッサリいうよね。」
そんななんでもない話をしていれば階段も降り終え、昇降口が見える。
そして外を見れば。
「あ、雨。」
雨が降っていた。
胸がぎゅっと縮まる。
そんな私の変化に気づいた様子はなく、
「なんか水野さんと一緒にいると雨ばっかりな気がする」
「もしかして雨女?」と笑って話を振られたけれど、何も返すことが出来なくて無理やり口角を上げる。
・・もしも私が本当に雨女なら、なんて皮肉なことだろう。
「・・・水野さん?」
橘くんは固まったまま動かない私の顔を覗き込む。
すぐに笑顔を作れなくて俯けば、橘くんは少し黙って、そして。
「・・・ねえ。」
「ん?」
私の方を真っ直ぐに向いて。
「これから、雨の日は一緒に帰ろう。」
「う・・んん?・・なにそれ。」
急に言われた言葉に思わず笑ってしまった。
そんな私を見て、橘くんは満足げに笑う。
「うん、水野さんはそういう顔の方が似合ってる。」
「・・っ・・」
なんて返せば良いかわからくて俯けば、
帰ろう、と橘くんは歩き出す。
・・・橘くんはやっぱり不思議な人だ。
「うーん、楽なのがいいな」
ホームルーム中、今日は生徒会の委員ぎめが行われていた。
特にやりたいことも無いし、流れに任せようと思っていたのだが。
「あ。水野と橘は出版委員会で決まりな。」
「え・・・。」
予想もしていなかった先生の言葉に間抜けな声が出る。
橘くんも驚いたように先生を見つめていた。
そんな私たちの視線を受け取ってから、にっこりと満面の笑みを浮かべた先生。
「お前らだけ、この前の数学の課題出してないだろ」
・・・確かに、出してない。
でも違うのだ、数学だけはどうしてもできない私は、はるかに教えて貰ってから提出しようと思っていたのだ。
「これはもう決定だからな。意見は受け付けませーん。」
おどけて耳を塞ぐ先生にクラスから笑いが起きる。
そんなの、冗談じゃない。
出版委員会と言えば仕事が多く、誰1人やりたがる人なんていない事で有名な委員会。嘘でしょ。
「よかったねー茜。橘くんと一緒じゃん」
「え?じゃあ変わってあげようか???」
「まあ遠慮しときますけども」
笑ってからかってくる友人を小突いて橘くんの方を盗み見れば、そっちはそっちで男子に全力で弄られていた。
別に橘くんが嫌という訳では無いが、
ただ、面倒なことは本当に嫌いだ。
はあ、と小さくため息をついた。
その日の放課後、私達は早速委員会の仕事に駆り出されていた。
資料室で2人で作業する事30分。
もう関わる事はないと思っていたが、まさかこんな事で一緒になるとは。
作業が終わったのは、1時間ほど過ぎた後で。
お疲れ様、と言葉を交わし、
そのまま2人で昇降口へと向かう。
「水野さんが課題出してないなんて意外だった。」
「数学は苦手なの。橘くんは・・・そんな感じ。」
「水野さんて結構バッサリいうよね。」
そんななんでもない話をしていれば階段も降り終え、昇降口が見える。
そして外を見れば。
「あ、雨。」
雨が降っていた。
胸がぎゅっと縮まる。
そんな私の変化に気づいた様子はなく、
「なんか水野さんと一緒にいると雨ばっかりな気がする」
「もしかして雨女?」と笑って話を振られたけれど、何も返すことが出来なくて無理やり口角を上げる。
・・もしも私が本当に雨女なら、なんて皮肉なことだろう。
「・・・水野さん?」
橘くんは固まったまま動かない私の顔を覗き込む。
すぐに笑顔を作れなくて俯けば、橘くんは少し黙って、そして。
「・・・ねえ。」
「ん?」
私の方を真っ直ぐに向いて。
「これから、雨の日は一緒に帰ろう。」
「う・・んん?・・なにそれ。」
急に言われた言葉に思わず笑ってしまった。
そんな私を見て、橘くんは満足げに笑う。
「うん、水野さんはそういう顔の方が似合ってる。」
「・・っ・・」
なんて返せば良いかわからくて俯けば、
帰ろう、と橘くんは歩き出す。
・・・橘くんはやっぱり不思議な人だ。