「お疲れ様です。これ、よかったら。」
「ああ、ありがとう。」
定時を少し回った頃、門田がコーヒーを入れてくれる。
ブラックのままで良かったですよね?そう聞く彼女に頷いて、一口口に含んでから再びパソコンへと向き直す。どうしても今日終わらせなければならない仕事だ。時間がない。
気付けば徐々に社内から人が消えて行っていて、門田も挨拶をして退社していく。俺も挨拶を返していったん手を止めた。昨年入社したばかりの彼女。少し砕けた口調と残業をほとんどしない事からゆとりだの現代っ子だの言われていたが、直属の上司として一緒に仕事をする機会が多い俺からすれば、仕事は早いし物覚えもいい。
何より笑顔が多く、気の利くいい子だと思う。・・・ただお世辞を言うのが苦手なだけで。
仕事が終わった頃には時刻は21時を回っていた。ふう、とため息を一つついてからパソコンの電源を切る。
飲みかけのコーヒーは既に冷め切っていて、一気に喉へと流し込んだ。
間抜けな電子レンジの音に呼ばれて、温めたコンビニ弁当を取り出す。
自炊はほとんどしない。朝ご飯はコーヒーだけ、お昼ご飯は社員食堂か会社の近くのご飯屋さん、夜はコンビニ弁当。
家に帰ればご飯を食べて、すぐにシャワーを浴びて、スマホをいじって、気づけば朝になっていて、出社準備をして。そんな毎日の繰り返し。
ごちそうさま、なんて口にする事もなく食べ終えた空き箱をごみ箱に捨てた。
今日はなんだかまだ少し満腹にならなくて冷蔵庫を開けてみる。
缶ビール、プロセスチーズ、牛乳、1食分だけ残っている袋麺・・・うーん、茹でるのも面倒くさい、却下。
結局諦めて冷蔵庫を閉じた。何かを食べる代わりにケトルでお湯を沸かして、インスタントのコーヒーを淹れる。朝も昼も夜も、気づけばコーヒーを飲んでしまっている。カフェイン中毒なんだろうという自覚もあるが、それで特に困った事もない。から異常摂取を続けている。
直前に見えた未開封の牛乳の賞味期限が数日過ぎてしまっていた事をぼんやりと思いだしながら、早く飲まなければ、なんて思った。
「本当にさ、その取引先のやつがまじで話通じなくてさ。」
「へー・・・。」
ガヤガヤと賑やかな定食屋の店内。
お昼時だからだろう、テーブル席もカウンター席も満席で。
会社から近いこの定食屋は安くて早くてそれなりにうまくて、お昼ご飯を食べに来ることも多い。
「すいません、コーヒー1つ。」
「あ、俺も。ミルクと砂糖もお願いします。」
「はいよ。」
食後にコーヒーを頼んで、同僚の愚痴に耳を傾けた。
同期の彼とは部署が違う為会社内であまり会うことは無く、ただこうやって一緒に昼飯を食べる事は多々ある。
「あー、彼女欲しーな。」
「お前それいつも言ってるよな。」
いつの間にか話題は仕事の愚痴から恋愛話へと移っていた。
合コンしようぜ、と騒ぐ彼に首を振っていれば、アラサー未婚仲間の彼は不意に真面目な顔をして。
「お前、まだ奏ちゃんのこと引きずってんの?」
「・・・な訳ないだろ。」
「嘘つけ。誘ってもなんも来ねえし。新しい恋する気もないだろ。」
「今は仕事が忙しいんだよ。」
ふうん、と彼がつまらなそうにコーヒーをすする。
・・・図星をつかれてドキッと胸が跳ねた。
動揺を悟られたくなくて、俺も静かにコーヒーを一口飲む。熱っ。
「そういやお前の新しい部下めっちゃ可愛いよな。なんだっけ名前。」
「・・・ああ、門田?」
「そうそう!門田ちゃん!俺んとこでも噂になっててさ。今度紹介してよ~」
「お前なあ・・・。」
呆れたまま伝票をもって立ち上がる。もうすぐお昼休みも終わりだ。
空になったマグカップと封の開いていないスティックシュガーとミルクをそのままに、
同僚とともに席を立った。駄目だ、やっぱりお昼後は眠くなる。
コーヒーを一口飲んでから、ゆっくり息を吐きだす。
時刻は0時過ぎ。パソコンを開いて自宅で明日のプレゼンの準備をしていた。
コンタクトを外した目は乾いていて、それと眠気で自然と欠伸がこぼれる。
『京平、一口ちょうだい。』
俺がコーヒーを飲んでいると、奏はいつもそういって一口をねだる。ブラックコーヒーは飲めないくせに。
一口飲んで、顔をしかめて、にが~い、なんて舌を出して。
だから言ったのに、そう言えば、今日は飲める気がしたの、なんて言っておどけて笑うから俺も笑ってしまうのだ。
奏は大学の同級生だった。
大学3年生の時から付き合って5年。6年目に入る前に、別れた。
・・・結婚すると思っていた、きっと、彼女もそう思っていた。
けれどきっとお互いに少しずつずれていて、気づけば修復できないほどの大きな溝に俺たちは飲み込まれてしまった。仕事、結婚、出産、介護。全てをすり合わせるなんて不可能なはずなのに、皆はどうやって将来を決めていくんだろう。一緒に居たい、その気持ちだけではだめなのだと、苦しいほどに痛感した。
はあ、と無意識にため息をついてしまっていた。
大人になるって何なんだろう。そんな中学生みたいな事を考えてしまって、またため息が出た。
パスタなんてものを食べるのはいつぶりだろう。
目の前に座っている門田は目を輝かせて、パシャパシャと写真を撮っている。
周りを見れば女の人ばかりで、少々居心地が悪い。
午前中、門田と共に取引先へ出向き駅前でお昼ご飯を食べることになった。
行きなれた定食屋さんに行こうとしたのだが、どうやら行ってみたいお店があったようで。
「最近新しくできて、ずっと気になってたんです!」
きらきらした瞳でそう言われれば断ることも出来ず、
結局ガラス張りのこのお洒落なお店に入ることになったのだ。
そんなの友達と行け、なんて言葉は飲み込んだ。
居心地の悪さは否めないものの、
付け合わせのスープも、パスタもとても美味しくて。
「食後の飲み物、どうします?」
「あ、じゃあホットコーヒーで。」
「だと思いました。いつも飲んでますもんね。」
すいませーん、と門田が店員さんを呼ぶ。
学生だろうか、若く見えるその店員はテーブルに近づいてきて。
「あったかい紅茶と、ホットコーヒーを一つ。」
「あ、コーヒー、ミルクと砂糖も付けてください。」
「かしこまりました。」
丁寧に頭を下げて厨房へと向かう店員。バイトかなあ、えらいなあ、あ、でも俺も当時はしてたか、なんてぼんやりと考えていれば、門田が俺をじーっと見ている事に気づいた。
「・・・何?」
「・・・いえ、なんでも。」
不思議に思いながらもそのまま仕事の話をしていれば、飲み物はすぐに届いた。
可愛らしいマグカップに入ったコーヒーに口をつける。うん、おいしい。
気付けばそろそろ会社に戻らなければならない時間になっていて、
お店を出ようと伝票を手に取れば、門田がまた俺をじーっと見ている事に気づく。
なんだよ、と聞く前に、彼女が口を開いて。
「ミルクと砂糖、使わないんですね。」
「え。」
言われて視線を落とせば、未開封のミルクと、
小さなガラス瓶にはいった角砂糖が目に入る。
「いや、だって俺、コーヒーはそのまま飲む派だし。」
「自分で頼んだのに?」
「・・・俺頼んでた?」
無意識だったんですか?と呆れたように彼女がため息をついた。
・・・無意識、だった。頼んだ記憶なんてなくて。
「普段使わないのにお店だと頼むんだな、なんて思ったのに結局そのままだから。なんでかなって。」
『ねえ、一口ちょうだい!』
急に、彼女の声が聞こえた気がした。
向居さん?と門田がまた訝しげに俺の顔を覗き込む。
慌てて思考を現実に引き戻して、伝票片手に席を立った。
冷蔵庫を開く。
未開封の牛乳の賞味期限はまだ切れていない。切れてしまったやつは飲み干して、また新しいのを買ってしまったからだ。
普段飲むわけでもないのに、俺はどうして。
お世辞にも綺麗と言えないキッチンの横には、袋のままの塩と、100均の小さなビンに入った角砂糖。調味料すら満足に揃っていないのに。油すら買っていないのに。なんで角砂糖なんて。
『にが~い。』
飲めないくせに一口をねだって、苦い顔をして、ぺろっと舌を出す。
今日は飲める気がしたの、なんて言っておどけてみせる。みせるから、だから俺は。
懲りないよなあ、なんて笑って。
飲みかけのブラックコーヒーに牛乳を入れて、砂糖を入れて、マグカップを彼女に手渡す。
そのうちやっぱり角砂糖の方がいい!なんて駄々をこねるから、一緒にスーパーに買いに行った。『ビンがあると可愛いよね』なんて言うから、100均に探しに行った。
お店でも一口をねだるから、自分は使わないのに必ずミルクと砂糖を頼んだ。
半分くらいになったコーヒーに彼女はミルクとスティックシュガー全部を使って、角砂糖だったら2つも入れて、おいしい、と幸せそうに笑うのだ。
気付けば牛乳を手に取っていた。
お湯を沸かして、インスタントのコーヒーを入れて、牛乳を入れた。
一口飲んでから、角砂糖を入れる。1つ、2つ。かき混ぜていれば、視界がゆがんで。
「・・・あま。」
もっと早く、この味を知ろうとすればよかった。
「ああ、ありがとう。」
定時を少し回った頃、門田がコーヒーを入れてくれる。
ブラックのままで良かったですよね?そう聞く彼女に頷いて、一口口に含んでから再びパソコンへと向き直す。どうしても今日終わらせなければならない仕事だ。時間がない。
気付けば徐々に社内から人が消えて行っていて、門田も挨拶をして退社していく。俺も挨拶を返していったん手を止めた。昨年入社したばかりの彼女。少し砕けた口調と残業をほとんどしない事からゆとりだの現代っ子だの言われていたが、直属の上司として一緒に仕事をする機会が多い俺からすれば、仕事は早いし物覚えもいい。
何より笑顔が多く、気の利くいい子だと思う。・・・ただお世辞を言うのが苦手なだけで。
仕事が終わった頃には時刻は21時を回っていた。ふう、とため息を一つついてからパソコンの電源を切る。
飲みかけのコーヒーは既に冷め切っていて、一気に喉へと流し込んだ。
間抜けな電子レンジの音に呼ばれて、温めたコンビニ弁当を取り出す。
自炊はほとんどしない。朝ご飯はコーヒーだけ、お昼ご飯は社員食堂か会社の近くのご飯屋さん、夜はコンビニ弁当。
家に帰ればご飯を食べて、すぐにシャワーを浴びて、スマホをいじって、気づけば朝になっていて、出社準備をして。そんな毎日の繰り返し。
ごちそうさま、なんて口にする事もなく食べ終えた空き箱をごみ箱に捨てた。
今日はなんだかまだ少し満腹にならなくて冷蔵庫を開けてみる。
缶ビール、プロセスチーズ、牛乳、1食分だけ残っている袋麺・・・うーん、茹でるのも面倒くさい、却下。
結局諦めて冷蔵庫を閉じた。何かを食べる代わりにケトルでお湯を沸かして、インスタントのコーヒーを淹れる。朝も昼も夜も、気づけばコーヒーを飲んでしまっている。カフェイン中毒なんだろうという自覚もあるが、それで特に困った事もない。から異常摂取を続けている。
直前に見えた未開封の牛乳の賞味期限が数日過ぎてしまっていた事をぼんやりと思いだしながら、早く飲まなければ、なんて思った。
「本当にさ、その取引先のやつがまじで話通じなくてさ。」
「へー・・・。」
ガヤガヤと賑やかな定食屋の店内。
お昼時だからだろう、テーブル席もカウンター席も満席で。
会社から近いこの定食屋は安くて早くてそれなりにうまくて、お昼ご飯を食べに来ることも多い。
「すいません、コーヒー1つ。」
「あ、俺も。ミルクと砂糖もお願いします。」
「はいよ。」
食後にコーヒーを頼んで、同僚の愚痴に耳を傾けた。
同期の彼とは部署が違う為会社内であまり会うことは無く、ただこうやって一緒に昼飯を食べる事は多々ある。
「あー、彼女欲しーな。」
「お前それいつも言ってるよな。」
いつの間にか話題は仕事の愚痴から恋愛話へと移っていた。
合コンしようぜ、と騒ぐ彼に首を振っていれば、アラサー未婚仲間の彼は不意に真面目な顔をして。
「お前、まだ奏ちゃんのこと引きずってんの?」
「・・・な訳ないだろ。」
「嘘つけ。誘ってもなんも来ねえし。新しい恋する気もないだろ。」
「今は仕事が忙しいんだよ。」
ふうん、と彼がつまらなそうにコーヒーをすする。
・・・図星をつかれてドキッと胸が跳ねた。
動揺を悟られたくなくて、俺も静かにコーヒーを一口飲む。熱っ。
「そういやお前の新しい部下めっちゃ可愛いよな。なんだっけ名前。」
「・・・ああ、門田?」
「そうそう!門田ちゃん!俺んとこでも噂になっててさ。今度紹介してよ~」
「お前なあ・・・。」
呆れたまま伝票をもって立ち上がる。もうすぐお昼休みも終わりだ。
空になったマグカップと封の開いていないスティックシュガーとミルクをそのままに、
同僚とともに席を立った。駄目だ、やっぱりお昼後は眠くなる。
コーヒーを一口飲んでから、ゆっくり息を吐きだす。
時刻は0時過ぎ。パソコンを開いて自宅で明日のプレゼンの準備をしていた。
コンタクトを外した目は乾いていて、それと眠気で自然と欠伸がこぼれる。
『京平、一口ちょうだい。』
俺がコーヒーを飲んでいると、奏はいつもそういって一口をねだる。ブラックコーヒーは飲めないくせに。
一口飲んで、顔をしかめて、にが~い、なんて舌を出して。
だから言ったのに、そう言えば、今日は飲める気がしたの、なんて言っておどけて笑うから俺も笑ってしまうのだ。
奏は大学の同級生だった。
大学3年生の時から付き合って5年。6年目に入る前に、別れた。
・・・結婚すると思っていた、きっと、彼女もそう思っていた。
けれどきっとお互いに少しずつずれていて、気づけば修復できないほどの大きな溝に俺たちは飲み込まれてしまった。仕事、結婚、出産、介護。全てをすり合わせるなんて不可能なはずなのに、皆はどうやって将来を決めていくんだろう。一緒に居たい、その気持ちだけではだめなのだと、苦しいほどに痛感した。
はあ、と無意識にため息をついてしまっていた。
大人になるって何なんだろう。そんな中学生みたいな事を考えてしまって、またため息が出た。
パスタなんてものを食べるのはいつぶりだろう。
目の前に座っている門田は目を輝かせて、パシャパシャと写真を撮っている。
周りを見れば女の人ばかりで、少々居心地が悪い。
午前中、門田と共に取引先へ出向き駅前でお昼ご飯を食べることになった。
行きなれた定食屋さんに行こうとしたのだが、どうやら行ってみたいお店があったようで。
「最近新しくできて、ずっと気になってたんです!」
きらきらした瞳でそう言われれば断ることも出来ず、
結局ガラス張りのこのお洒落なお店に入ることになったのだ。
そんなの友達と行け、なんて言葉は飲み込んだ。
居心地の悪さは否めないものの、
付け合わせのスープも、パスタもとても美味しくて。
「食後の飲み物、どうします?」
「あ、じゃあホットコーヒーで。」
「だと思いました。いつも飲んでますもんね。」
すいませーん、と門田が店員さんを呼ぶ。
学生だろうか、若く見えるその店員はテーブルに近づいてきて。
「あったかい紅茶と、ホットコーヒーを一つ。」
「あ、コーヒー、ミルクと砂糖も付けてください。」
「かしこまりました。」
丁寧に頭を下げて厨房へと向かう店員。バイトかなあ、えらいなあ、あ、でも俺も当時はしてたか、なんてぼんやりと考えていれば、門田が俺をじーっと見ている事に気づいた。
「・・・何?」
「・・・いえ、なんでも。」
不思議に思いながらもそのまま仕事の話をしていれば、飲み物はすぐに届いた。
可愛らしいマグカップに入ったコーヒーに口をつける。うん、おいしい。
気付けばそろそろ会社に戻らなければならない時間になっていて、
お店を出ようと伝票を手に取れば、門田がまた俺をじーっと見ている事に気づく。
なんだよ、と聞く前に、彼女が口を開いて。
「ミルクと砂糖、使わないんですね。」
「え。」
言われて視線を落とせば、未開封のミルクと、
小さなガラス瓶にはいった角砂糖が目に入る。
「いや、だって俺、コーヒーはそのまま飲む派だし。」
「自分で頼んだのに?」
「・・・俺頼んでた?」
無意識だったんですか?と呆れたように彼女がため息をついた。
・・・無意識、だった。頼んだ記憶なんてなくて。
「普段使わないのにお店だと頼むんだな、なんて思ったのに結局そのままだから。なんでかなって。」
『ねえ、一口ちょうだい!』
急に、彼女の声が聞こえた気がした。
向居さん?と門田がまた訝しげに俺の顔を覗き込む。
慌てて思考を現実に引き戻して、伝票片手に席を立った。
冷蔵庫を開く。
未開封の牛乳の賞味期限はまだ切れていない。切れてしまったやつは飲み干して、また新しいのを買ってしまったからだ。
普段飲むわけでもないのに、俺はどうして。
お世辞にも綺麗と言えないキッチンの横には、袋のままの塩と、100均の小さなビンに入った角砂糖。調味料すら満足に揃っていないのに。油すら買っていないのに。なんで角砂糖なんて。
『にが~い。』
飲めないくせに一口をねだって、苦い顔をして、ぺろっと舌を出す。
今日は飲める気がしたの、なんて言っておどけてみせる。みせるから、だから俺は。
懲りないよなあ、なんて笑って。
飲みかけのブラックコーヒーに牛乳を入れて、砂糖を入れて、マグカップを彼女に手渡す。
そのうちやっぱり角砂糖の方がいい!なんて駄々をこねるから、一緒にスーパーに買いに行った。『ビンがあると可愛いよね』なんて言うから、100均に探しに行った。
お店でも一口をねだるから、自分は使わないのに必ずミルクと砂糖を頼んだ。
半分くらいになったコーヒーに彼女はミルクとスティックシュガー全部を使って、角砂糖だったら2つも入れて、おいしい、と幸せそうに笑うのだ。
気付けば牛乳を手に取っていた。
お湯を沸かして、インスタントのコーヒーを入れて、牛乳を入れた。
一口飲んでから、角砂糖を入れる。1つ、2つ。かき混ぜていれば、視界がゆがんで。
「・・・あま。」
もっと早く、この味を知ろうとすればよかった。