「なあ。」
「・・なに?」
放課後、僕らは読書感想文の仕上げにかかっていた。
周囲の目など全く気にしない井上は、教室でも僕にたくさん話しかける。
最初こそ嫌だったものの、今では普通に会話をするようになっていて。
「なんでいつも1人でいんの?」
「別に。」
「休み時間とかも本ばっか読んでるじゃん。」
「・・一人で本読んでた方が楽しいし。」
井上はふーん、と返事をして俺には分かんねえなあ、と笑う。
それでも、僕はやっぱり皆と遊ぶことはしなかった。
なんでかは、自分でもよく分からない。
「俺はお前とサッカーとかしたいけどな」
「・・・・」
・・井上は思ったことがすぐに口に出る。
だからこの言葉が本心だと分かって、
でもなんと答えればいいかわからず黙り込んでしまった。
「・・なんか今日元気ないね。」
「・・・そう?」
お姉さんが心配そうな顔をしてこっちを見る。
どうやらぼーっとしていたみたいだ。
「何かあった?」
話そうか話さないか迷って、結局ゆっくりと口を開く。
お姉さんになら話していいな、そう思う事が増えていた。
今日井上と話したこと、井上の言葉に僕が何も返せなかったこと、変な気持ちになったこと。
話を聞き終わるとお姉さんはにやっと笑って。
「それってさ、普通に嬉しかったんじゃないの?」
ストン、とお姉さんの言葉が胸に落ちた。
嬉しい。
僕は、嬉しかったのだろうか。
もしも相手がお姉さんじゃなかったら
恥ずかしがってろくに考えずに否定していた事だろう。
けれど、今日はしっかり考えた。
頭の中でぐるぐると考えが回る。
・・・たし、かに。
「・・・そうかもしれない。」
僕がそう呟けばお姉さんは満足そうに頷いて、いつかの言葉を繰り返した。
「自分の気持ちに嘘はついちゃいけません」
最初は何も思わなかった言葉が、
ストン、とまた胸に落ちた。
「なあ、サッカーやろうぜ。」
休み時間、教室で井上か僕に声をかける。
・・そういえば、文句を言いつつも井上は毎日欠かさずに僕を誘ってくれていたなあ。
「いいって、いこうぜ」隣の誰かがそう井上に声をかけて、井上も諦めたように歩き出そうとして_。
「やる。」
バッ、と僕に視線が集まるのを感じた。
『自分の気持ちに嘘ついちゃいけません』
本当はずっと素直になりたかった。
本を読むのは好きだけど、カードやゲームの話にはついていけないけど、でも、
皆と一緒に、遊んでみたかった。
「やる」
自分に確かめるようにもう1度ゆっくりと言う。
びっくりしたような顔で皆が僕を見る中、
1人だけ、満面の笑みなのは井上。
「言っとくけど、僕すっごい運動音痴だからね」
「みんな知ってるよ」
「同じチームになっても知らないから」
「その分俺が決めてやるって」
楽しそうに笑う井上につられて僕も頬が緩む。
そのまま僕達は校庭へと駆け出した。
「・・なに?」
放課後、僕らは読書感想文の仕上げにかかっていた。
周囲の目など全く気にしない井上は、教室でも僕にたくさん話しかける。
最初こそ嫌だったものの、今では普通に会話をするようになっていて。
「なんでいつも1人でいんの?」
「別に。」
「休み時間とかも本ばっか読んでるじゃん。」
「・・一人で本読んでた方が楽しいし。」
井上はふーん、と返事をして俺には分かんねえなあ、と笑う。
それでも、僕はやっぱり皆と遊ぶことはしなかった。
なんでかは、自分でもよく分からない。
「俺はお前とサッカーとかしたいけどな」
「・・・・」
・・井上は思ったことがすぐに口に出る。
だからこの言葉が本心だと分かって、
でもなんと答えればいいかわからず黙り込んでしまった。
「・・なんか今日元気ないね。」
「・・・そう?」
お姉さんが心配そうな顔をしてこっちを見る。
どうやらぼーっとしていたみたいだ。
「何かあった?」
話そうか話さないか迷って、結局ゆっくりと口を開く。
お姉さんになら話していいな、そう思う事が増えていた。
今日井上と話したこと、井上の言葉に僕が何も返せなかったこと、変な気持ちになったこと。
話を聞き終わるとお姉さんはにやっと笑って。
「それってさ、普通に嬉しかったんじゃないの?」
ストン、とお姉さんの言葉が胸に落ちた。
嬉しい。
僕は、嬉しかったのだろうか。
もしも相手がお姉さんじゃなかったら
恥ずかしがってろくに考えずに否定していた事だろう。
けれど、今日はしっかり考えた。
頭の中でぐるぐると考えが回る。
・・・たし、かに。
「・・・そうかもしれない。」
僕がそう呟けばお姉さんは満足そうに頷いて、いつかの言葉を繰り返した。
「自分の気持ちに嘘はついちゃいけません」
最初は何も思わなかった言葉が、
ストン、とまた胸に落ちた。
「なあ、サッカーやろうぜ。」
休み時間、教室で井上か僕に声をかける。
・・そういえば、文句を言いつつも井上は毎日欠かさずに僕を誘ってくれていたなあ。
「いいって、いこうぜ」隣の誰かがそう井上に声をかけて、井上も諦めたように歩き出そうとして_。
「やる。」
バッ、と僕に視線が集まるのを感じた。
『自分の気持ちに嘘ついちゃいけません』
本当はずっと素直になりたかった。
本を読むのは好きだけど、カードやゲームの話にはついていけないけど、でも、
皆と一緒に、遊んでみたかった。
「やる」
自分に確かめるようにもう1度ゆっくりと言う。
びっくりしたような顔で皆が僕を見る中、
1人だけ、満面の笑みなのは井上。
「言っとくけど、僕すっごい運動音痴だからね」
「みんな知ってるよ」
「同じチームになっても知らないから」
「その分俺が決めてやるって」
楽しそうに笑う井上につられて僕も頬が緩む。
そのまま僕達は校庭へと駆け出した。