しかし、いくら待てども迎えはやってこない。

(えっと、これは試練とかなのかしら? 伯爵令嬢は馬車で行ったらもしかして歩いて帰る慣例がある?)

 とんちんかんな考えを巡らせるリーズだが、彼女に至ってはこれは本気で考えている。
 そう、彼女には【先月までの記憶がない】。
 つまり、令嬢としての振る舞いやおこないも全て忘れていた。
 そんな様子を見た彼女の父親はこの辺境の果てに彼女を【捨てた】のだ。