私の両親と南輝くんの両親がそのことを知ったのは。
お兄ちゃんと南輝くんが中学三年生のとき、とのこと。
お互いの両親が十五年間、取り違えられた子供ということを知らず我が子のように育て共に生活してきた。
それが実はお隣さんの子供だった。
だけど、そのことを知ったからといって『じゃあ、本当の子供と交換しましょう』という気持ちになることは、もちろんできない。
十五年という長い年月を共に過ごしてきた。
大切に育てた子供を本当の子供ではないからといって簡単に手放せるわけがない。
それに。
そのことをお兄ちゃんと南輝くん、私や真愛に伝えたら。
きっと混乱してしまう。
それから、お兄ちゃんと南輝くん、私と真愛は思春期という難しい年頃。
そんな時期にお兄ちゃんと南輝くんが取り違え子だと知ってしまったら混乱だけではすまなくなってしまうかもしれない。
私の両親と南輝くんの両親は悩んだ。
その結果、お兄ちゃんと南輝くん、私と真愛には真実は打ち明けないということになった。
幸いかどうかはわからないけれど、私の家族と南輝くんの家族は隣同士で付き合いも家族同然のように深い。
お互いの家族がお兄ちゃんと南輝くんに接することができている。
そして、お互いの家族関係はとても良好。
だから、わざわざ真実を打ち明ける必要はないと思った。
できるなら、このまま真実は打ち明けることなく過ごしていきたい。
私の両親と南輝くんの両親はそう決意した。