「メリークリスマス!」
 クリスマスの日、私と涼は一緒にいた。もちろん、彼氏と一緒にクリスマスを過ごすのは初めてだった。毎年彩と一緒だったけど、彩が遠慮して「クリスマスは彼氏と過ごすもんでしょ!」と遊ぶ予定をイヴにずらしてくれたのだ。
「メリークリスマス!これ、プレゼント」
 そう言って、私は涼に赤い紙袋を手渡す。初めて選んだ男子へのプレゼント。気に入ってくれるかとても心配だった。
「ありがとう。じゃあ、俺からはこれ」
 私も、涼から白の紙袋に入ったプレゼントをもらう。包装を開けると、入っていたのは白の手袋とワイヤレスのイヤホンだった。イヤホンも白だ。
「わ!嬉しい…ありがとう!」
「イヤホン、線のずっと使ってると思ったからワイヤレスにしてみた。」
「いつか欲しいと思ってたの!めちゃくちゃ嬉しい。」
手袋も、冬らしい純白で動かしやすそうな生地だった。私の彼氏、とてもセンスがいい。
「俺も開けるね。」
 涼は私が渡した紙袋を開けていく。少し、緊張していた。袋から出てきたのは赤色のマフラーだ。私が彩と一緒に選びにいったものだ。
「マフラー?めっちゃ嬉しい!欲しいと思ってたんだよ。」
 サッカー部の涼は、外でつけることが少ないと思ったが、彩に聞いたところクリスマスプレゼントの定番はマフラーらしい。彩の豊富な恋愛経験を信じて、そのマフラーを購入した。
「気に入ってくれた?」
「おう!でも、冬しか使えないのが残念だな。鈴から貰ったものはずっと身につけていたいからなー」
「そんなこと言わないでよ、照れるなー」
「照れた顔も可愛い」
「…こ、今度はずっと身につけられるものあげるから」
待ってる、と言った涼の顔が赤くなっていたのを、私は見逃さなかった。
「また来年もさ、ここでイルミネーション見たいね!」
「……そうだな。」
 しかしあれから、もうこの場所へ来ることはなかった。