「夢と知りせば覚めざらましを…。って何だっけ?」
 「は? 知らねえよ。お前、何言ってんだ?」
 この私が相当酔っている。今までどんな酒飲みともつぶれずに飲み明かしてきたこの私が。今は千鳥足でこうして付き添ってもらわなければホテルまで辿り着けそうにないなんて。よく覚えていないけど、最後の店で飲んだワインが効いているのか、今まで経験がないほど酔っ払ってしまっている。
 「ホテルついたぞ。ほら、降りるぞ!」
 「うーん。」
 タクシーでホテルまで戻ってきたことは覚えている。
 その先の記憶はそっくり無くなっていた。