「初めて話せたのはこの空き地だった。偶然出会って驚いたけど、舞い上がったな。そこから交流するようになっていった」
「そうなんですか……。じゃあここは思い出の場所なんですね」
「うん」
やめて。そんな幸せそうな顔しないでくれ。
胸の辺りがひんやり冷えるような感覚に襲われて、ギュッと手の甲をつねる。
「付き合ってかなり経つけど、プロポーズしようと思うとなかなか踏ん切りがつかなくて。僕が彼女を幸せにできるのか不安だった。だから、プロポーズできるまで毎日この思い出の場所に来て、勇気をもらおうとしてた」
「……ということは、プロポーズは上手くいったんですね。不安はなくなったんですね」
「なくなったわけじゃないけど、再認識できた。彼女のことがこんなに好きで、いつまでも隣にいたいって」