「僕、ここに来るの今日が最後だから」

「……え?」



いつものように空を見上げて図書館で覚えたばかりの星座を探していた私は、聞き間違いかと思い間の抜けた声を上げる。



「明日からはもう来ない」

「な、なんで!?」

「目的が達成できたから」



シュウさんは焦る私に向けて、照れ笑いのような表情を浮かべる。



「結婚するんだ」

「けっ……こん……」



どういうこと……?

辺りは真っ暗なのに、目の前が真っ白になってしまったような気がした。




「あ、相手は──どんな人なんですか?」



諸々の感情を無理やり飲み込んで、私は目をそらしながら聞く。 



「高校の時の同級生。隣のクラスだったけど一方的に知ってて、ていうか憧れてて」



彼は懐かしむように答える。

そっけないいつもの口調と比べてずいぶん優しいような気がする。