高校二年の私、佐倉優衣《さくらゆい》は清潔な白い病院のベッドで春の陽ざしに微睡んでいた。
三月の初めに階段で足を滑らせた私は、右足を派手に骨折した。ベッドの上で吊って固定された右足は、自分で見ても痛々しい。
そして、家の近くの有馬病院で四月末まで入院生活を送ることになって、今に至る。
夕方になって、仲の良いクラスメートの卯月美香《うづきみか》が部活帰りに病室に寄ってくれた。
同じ文芸部員なので、今日の部の様子を聞く。
「春休み用のプロット作成で今日は終わったよ」
そうか、もうすぐ春休みだ。
「あと、今日古文の授業で鳴上先生が爆弾発言したよ」
「え、何なに?」
美香が話題にしたのは、私の大好きな先生だ。
私達のクラスで古文を担当する鳴上爽文《なるかみさわふみ》先生は、国語科なのに白衣を着ている不思議な先生だ。
小柄な容姿はマスコットみたいだと思う。ゆる~い性格とサバサバした発言が私は気に入っているのだが、美香の言葉に嫌な予感がした。
「先生、今日のうちのクラスが教師人生最後の授業だって」
「……は?」
三月の初めに階段で足を滑らせた私は、右足を派手に骨折した。ベッドの上で吊って固定された右足は、自分で見ても痛々しい。
そして、家の近くの有馬病院で四月末まで入院生活を送ることになって、今に至る。
夕方になって、仲の良いクラスメートの卯月美香《うづきみか》が部活帰りに病室に寄ってくれた。
同じ文芸部員なので、今日の部の様子を聞く。
「春休み用のプロット作成で今日は終わったよ」
そうか、もうすぐ春休みだ。
「あと、今日古文の授業で鳴上先生が爆弾発言したよ」
「え、何なに?」
美香が話題にしたのは、私の大好きな先生だ。
私達のクラスで古文を担当する鳴上爽文《なるかみさわふみ》先生は、国語科なのに白衣を着ている不思議な先生だ。
小柄な容姿はマスコットみたいだと思う。ゆる~い性格とサバサバした発言が私は気に入っているのだが、美香の言葉に嫌な予感がした。
「先生、今日のうちのクラスが教師人生最後の授業だって」
「……は?」