ポタポタと血を流しながら老人のほうへ足を進めるアデル、その顔には痛みに耐えながらもまっすぐに老人を見つめる目をしていた。

「気にいらねぇんだ」
「それだけか?」
「――あぁ、それだけだ。あいつは俺を育ててくれたおやっさんの奥義を知ってる、だけど俺は知らない。それが気に入らないだけだ」

 フラフラと老人の目の前までやってきた、左腕で老人が着ている服を握り自分のほうへ寄せる。

「俺の名前はアデル・ロード! 剣聖カルナック・コンチェルトの弟子だ!」

 そこまで言うとついに力尽き、握り締めた老人の服からも手を放してその場に崩れ落ちた。