「テメェが手に入れたがってる力の結末さ、おやっさんの言葉で頭の悪い俺でも分かるってもんだぜ? ソレなのに何故に力を欲する? そこまでして手に入れて何の意味があるんだ?」
「黙れ! そんな事俺に言われる筋合いは無いね!」
「自分にこんな事言うのもなんだが、本当に救いようのねぇ奴だな俺はよ!」

 コピーが動く、トンっとその場から跳躍しオリジナルの目の前まで瞬時にして移動した。それをアデルは捕らえることができなかった。気が付いたときには既に目の前に自分そっくりの顔があって、同時に腹部に痛みを覚える。

「今の俺は剣聖結界(インストール)を施した時と同等、もしくはそれ以上の力だ。俺を倒せなければレイヴンと戦ったところで瞬殺されるのが目に見えてるんだよ」

 剣が突き刺さっていた、心臓の位置より十数センチ下のところから入り背中へと抜ける。

「そうか、お前を倒せれば光は見えるのか!」
「何をいってやがる」

 アデルはコピーの右腕を左手で掴み、右手に構えるグルブエルスを逆手に持ち替えた。次に一歩体を前に出し突き刺さっている剣をより深く、抜けないように根元まで受け入れる。

「テメェ!」
「邪魔だ俺! 俺は爺さんに話があるんだぁ!」

 逆手に構えたグルブエルスをコピーの背中に突き刺す、同時に自分の体に自身の剣が食い込むのが分かる。腹部に二つの傷、その痛みに耐えながら心臓を貫かれたコピーの息が絶えるのを確認する。
 息絶えたコピーは光となってゆっくりと消えていく、ソレを後ろで見ていた老人は眉一つ動かさずにアデルを見つめる。

「爺さん、邪魔者は居なくなったぜ。話を聞かせてもらおうか」
「そこまでして欲する理由は何だ? カルナックも言っておったであろう、あやつは自滅する。それをワザワザ邪魔しに行く必要も無かろう?」