ガズルが言う。

「もう強くなりたいなんて思わない、嘘に聞こえるかもしれないけど俺は本気だ。あんたが俺達を殺してでも進むって言うならこれ以上の強さを求めることなんで出来ないからな!」

 ギズーが言った。
 それぞれの思いの内を吐き出して一歩前へと踏み出す、それを見たカルナックは一つ溜息を付いて懐の刀を鞘から引き抜く。

「ガズル君、ギズー君下がりなさい」

 綺麗な刃だった、毎日手入れをしているような程の美しさを持つ刀だった。刃に写るレイとアデル、カルナックは刀を自信の体の前に持っていくと逆手に持ち替える。刀身を地面に向けた状態で握っていた拳をゆっくりと解いた。

「レイ君、アデル。これから君達に教えるのは君達自信のことだ」

 刀がタイルに突き刺さった瞬間刀身から光が放たれる、部屋一面を覆うほどの光がその場にいた者達の視力を一瞬にして奪う。

「なっ!」

 思わずアデルとレイは腕で目を保護しようとした。だがそれも意味が無い物だと知る。保護しようと顔の前に腕を伸ばした時、二人は意識を失った。

「向き合いなさい、そして戦いなさい。自分自身に勝つことが出来れば……君達も本当の意味を知る」

 突き刺さった刀を右手で抜き取ると光は一瞬にして消える、だがカルナックを覗くアリス、ガズル、ギズーの三名はいまだ視力が回復しない状態でカルナックの言葉だけが耳に届く。

「負けることは許しません」



 何時間経っただろう、アデルとレイの二人はベッドの上でスースーと寝息を立てて寝ている。いや、気を失っているといったほうが良いのだろうか。
 その傍に師匠のカルナックが立っている、二人の顔を見てフッと笑いその部屋を後にしようとする。

「私も、何を考えているのだろうか」

 ドアノブに手を当ててそう呟いた、もう一度振り返り弟子の顔を見て部屋を出た。

「剣聖、二人は?」