ここ、ケープバレーの酒場町から西にある小さな洞窟。そこには三十人の不気味な男達が続々と集まってきた、リーダー格の男は黒い帽子に黒いエルメア(注意:帝国軍服の事)を身に着けた十四歳の少年と、ニット帽と顔に似合わないほどの大きさを持つ眼鏡を掛けた十三歳の少年。
 その後ろには二十歳を超える男達が群れをなして歩いている、辺りから見えればその連中は不気味且つ恐怖を覚えさせる。彼等は義賊、他の賊とは異なり一般の人間には手を出さずに貴族やお金持ちに対してだけ盗みや強盗を働きその金品を貧しい村や人、家々に配って回っていた。それが祟って一つの盗賊から目を付けられ、今そこに向かっている途中との事かと。

 彼等がたどり着いた時には周りを八十人程の荒くれ者達に囲まれ、中央からテンガロンハットをかぶった体格の良い男が脇に舎弟を二人引き連れ、一番前に立っている少年の前へと足を進めた。

「俺達を呼び出した理由は何だい大将?」

 黒い帽子をかぶった少年が右手にロングソードを構えて大男の目を睨む、

「お前達に聞きてぇ事がある、最近ウチの若ぇのが四人帰ってこねぇんだ。何か知らねぇか?」
「知らねぇよ、仮に知ってたとしてお前らに言う義理はねぇな」

 帽子の左斜め上に入ってる大きめの切れ込みから右目を覗かせて大男をにらみつけた。

「そうか、知らねぇんじゃぁどうにもならねぇな。それともう一つ、お前ら俺らの傘下に入るつもりはねぇか?」
「傘下?」

 黒づくめの少年の眉がピクリと動く、右手に握るロングソードのグリップを握りしめて体の前に持ってきた。

「ふざけた事を言うな、お前らが俺らの傘下に入るってのなら考えてやってもいいがな」

 大男はその言葉を聞いて笑い始めた、まさかこの人数差をどうにかできるのかと思うと笑いがこみあげてくる、以前から気に入らないと思っていたこの少人数の賊。だが腕は立つと噂だったことから自分の傘下に入れようと思っていた。しかし、こうも舐められた口をきかれたのではこの男にも面子ってものがある。何より部下の目の前ということもあり。

「そうか、それがお前の答えか。野郎共!」

 こうなった。