普段アリスが行っている仕事をレイが半分以上をこなしていた、勿論彼本人の行動でありカルナックやアリスに強制されたわけでもない。ただ、前日のどんちゃん騒ぎでアリスも疲れているだろうという憶測。
 アリスが屋敷内の異変に気付き外に出て来たのはレイが仕事を全て終わらせてからだった。

「全部レイ君がやったの?」
「はい、結構な量が有りますね。特に洗濯物なんか大変でしたよ。……色々な意味で」

 少し顔を赤くして答えた、最初は何のことだか分からなかったアリスだが次第にその意味を把握した。そしてにんまり笑顔を作ってレイを抱き込む。

「もう、ウブなんだからレイ君は!」
「ちょっ、勘弁して下さいよ姉さん!」
「いーやーだ、暫くぶりなんだからもう少しお姉さんにこうさせてよ!」
「ななな、何言ってるんですか! それに、そのショタ癖直ってないんですか? 昔僕が言いましたよね、その癖は悪い癖だから直した方が良いって!」
「嫌よ、こんなに楽しい事止められる物ですか」

 レイの忠告は無情に流された。それにしても今日は寒い、何時雪が降り出してもおかしくないぐらいに寒い。
 それも曇っていてなかなか怪しい塩梅だ。雪が降るには十分な気温と湿度が成り立っていた、真冬の中でやる特訓や修行が一番厳しい。

「そろそろカルナックが外に出てくるわ、後の事は私がやるから最後の支度はしておきなさい」

 急にアリスの口調が変わった、ぎゅっとされていたレイも何時しか解放され半ば放心状態にいた。そしてアリスの顔を見て。

「ありがとう、姉さん」

 そう伝えてレイは再び家の中へと入っていった。

「あの子達ならマスター出来るかも知れないわね」