レイ・フォワード率いるFOS軍が向かった先は、剣の師である剣聖:カルナック・コンチェルトの所だった。最後だけぽっかりと空いてしまっている秘術を教わるために彼等は今、最後の宴をしていた。
 その中一人、いや二人だけ重苦しい空気の中で向き合っていた。片手には既に燃え尽きている煙草を指に挟んで。
 外では楽しくバーベキューを楽しんでいるレイ達の姿があった、アデルはカルナックと同様に酒を浴び、どろどろにまで酔っぱらっていた。酔った勢いで何やら手品を見せると言いだし立ち上がった。勿論そのネタは誰でも知ってるネタであり、かつ誰にでも出来るような事なのでここに書く事はしない。

「ねぇ、ちょっと風当たりに行かない?」

 レイの隣で少しほろ酔い気味のメルがそう言った。少しだけ頬を赤らめているのは酒の性だろう。

「うん、そうしようか」

 レイとメルはそっと立ち上がるとその場の人間に少しだけ席を外すと言って森の中へと姿を消していった。

「ふーん」

 プリムラが片手にワイングラスを持って二人が消えていった森の方へと目をやる、その顔には誰が見ても下心見え見えの妄想を抱いている。

「プリムラちゃん、若い子達の詮索は止めた方が良いよ」

 シトラだ、同じく片手にビールジョッキを持つ姿はとってもよく似合う。現実世界にもこんな年増の女性も多くいるだろう。シトラはグイッとビールを一気飲みした。

「ぷはー、それにしても先生! 相変わらず年取った感じには見えませんね? あれから十五年も経つんですよ?」
「はっはっは、そんな事を言ったらシトラ君だって昔と変わらず美人じゃないですか。まぁ、昔の頃はまだ可愛いの分類でしたがね。良い感じに綺麗になりましたよ。何でもあの後はケルヴィン君の城で働いていたとか、やはりというか何というか、あなたも付いて来てしまいましたか」

 昔の事を思い出しながら少し懐かしくなったカルナックはそのままシトラと絡み出した。二人とも酔っているせいか何とも滑舌が悪い。

「やはりって何ですか先生? フィリップ様はお変わりになりました。でも、剣の腕は相変わらずですよ。既に引退のみですけどね。先生は未だ現役でいらっしゃるのですか?」