「……試すってどういうことですか」

 その言葉を聞いてレイがガイの顔を見上げた、目の前で頭を下げたままガイは続ける。

「本音を言えば分からなかったのだ、君達のような子供にこの戦争を任せていい物なのかと。噂には尾ひれがつくものだ、何か偶然起きた出来事が誇張して伝わるなんてことはザラで君達の事は正直報告と噂話でしか私の元に届いていなかったのだ。新たな剣聖の実力とその仲間達の力、実際に目にし体感するまで信じられる話では無かった」
「だからワザと僕を怒らせるようなことを」
「申し訳なかった」

 ガズル達はその姿を見て肩を落とした。レイ達が部屋を出た直後にガイはすぐさまその事を白状していた。身をもってレイの強さを確認し、あまつさえ敵に回してはいけないと十二分に理解したのだ。同時にギズー以外の三人は当然抗議した。だがギズーだけは何も言わなかったという。

「真実だレイ、このおっさんが言う事は」
「なんでそう言いきれるの?」
「――よく見てみろよ、このおっさんの目を」

 ガイがゆっくりと頭を上げ、その目を覗き込むレイ。

アイツ(レナード)と同じ目をしてるだろ、この目は信用できる」

 そこにあったのは、かつて見た英雄の目と一緒の物だった。このクソッタレな世界をどうにかしようと企む、後に英雄と呼ばれる男たちの目がそこにはあった。