支部の中は外見からは想像も付かない程豪華だった。
 輝く装飾品が至る所に散りばめられつつ、きちんと支部として活動する為に必要な物は揃っていた。遠くからシフトパーソルの発砲音が聞こえる事から察するに地下にでも射撃練習場があるのだろう。外見からは想像も出来ない作りに彼等は少しだけ驚く。

「せめてもの威厳って奴だろうなこれ」

 ギズーが周囲に飾られている装飾品を見て一言漏らした。残りのメンバーはその言葉を口にするかと思いながらも苦笑いで見渡す。

「それにしても――」

 自分達の向けられる視線に含まれる感情にいち早く反応したのはアデルだった、ロビーには二十人程の組員がいて常にシフトパーソルが抜ける様な体制を取っている。一見自然体に見えるが彼等の目は誤魔化せない。組員が持つシフトパーソルは遠巻きに見ても良く整備されていて状態は良く見えた。

「用心した方が良いぞレイ、こいつら何してくるか分かったもんじゃねぇ」
「そうかもね、でもここで騒ぎを起こしたら僕達が西大陸で動きにくくなる。ちょっとぐらい無茶な要望は聞いておこうよ」
「ならお前の隣の奴にもそう伝えとけ、今すぐにも抜きそうだぞ」

 アデルが目くばせをする、レイの隣で全周囲を警戒し少しでも変なしぐさを取るモノならホルスターからシフトパーソルを抜こうとしているギズーが見えた。

「僕が良いって言うまで撃っちゃ駄目だからね」
「……分かってんよ」
「ありがとうギズー」

 ギズーの答えに笑顔でそう答えた。

「君達が噂の子供達かな」

 奥から声が聞こえてきた、ゆっくりと彼等の元へ足を運ぶ長身でスキンヘッドな男が一人。左目に布を当てている。カルナックと同じぐらいの背格好でとても低い声をしていた。

「私が支部統括のガイだ、気軽に統括とでも呼んでくれ」
「初めまして、中央大陸反帝国組織FOS軍です。クリスさんからお話は――」
「あぁ聞いてるぜ、こんな所で立ち話も何だ。奥の会議室を使おう、付いて来たまえ」

 会釈をしつつ自分達の紹介をした所で会話を遮られた、周囲の視線もそうだがレイはこの時妙な違和感を覚えていた。何故自分達に敵意が向けられているのか、船上でのクリスが取った親切な対応とはまるで印象が異なっていた。

「っと、その前に――」

 会議室へと案内しようとしたガイは立ち止まるともう一度彼等の方を向いた。

「君達は今非常にバランスの悪いポジションにいる、その所為で我らが組員の対応が不適切になっている。それも含めて奥で話そう」

 そう話した。





 会議室に通された彼等はその殺風景な部屋に驚いた。
 ロビーはアレだけ豪華に飾られていたがこちらは見事に殺風景だった、有るのはテーブルとイス、壁は見た事の無い材料で作られ数枚窓があるだけの部屋だった。

「さぁ座ってくれ、先ずは君達の現状について説明しよう」

 レイ達は各々椅子に座る、ギズーとファリックはそれぞれの獲物をテーブルの上に置く。ガイがそれを目線だけで確認し再びレイを見つめる。

「良い判断だ、シフトパーソルは剣に比べて即効性のある攻撃が可能だ。それもガンナーが二人、直ぐにでも行動が取れるようになっているいいチームじゃないか。先は子供と言った事を訂正しよう」
「テメェが下手な真似しない限りこいつが火を噴くことは無い、武力をあらかじめ示すのは対等な話し合いをする為だ」