「私がそれを知ってたら君達のこんな問いはしなかったよ。ガズル君とギズー君ならもしかしたら何か知ってるかもって思った位だからね、私も正直そこまでは知らないんだ」
優しい目でそう答えた。
要塞都市メリアタウン攻城戦から一ヵ月と二週間、レイ率いるFOS軍はメリアタウンから南南東に位置するグリーンズグリーンから海上商業組合の船に乗って西大陸へと足を進めていた。後一週間程度で西大陸へと到着すると言ったところで彼等は今後の動きを纏めようと一室に集まっていた。
海上商業組合の情報網によってメリアタウンを脱出したプリムラ達は現在西大陸の南東部に位置する街に居ると分かっている。そこに向かい彼女達を回収した後の事を決めようとしていた。
「それにしてもよ、プリムラ達はどうやって西大陸に渡ったんだ? 俺達もあの後急いで動いたけどここまで一ヵ月と二週間だ。たったの二日でどうやって戦場になったあの場所から移動したんだ?」
アデルがタバコを吹かしながら椅子に寄りかかって天井を見上げた。確かに不思議ではある、プリムラ達は非戦闘員で法術も使えない。彼等とは根本的に違うのだ。
「多分だが西の蒸気機関だろうな、メリアタウンにも数台は有ったし「クレッセント」迄行けば地下のトンネルにも大量に人を乗せられる「蒸気列車」がある。ソレに乗って逃げたんだろう」
「それを使ったって確証は?」
「クレッセントの地下街に行ったときにそのポートが爆破されて通ることが出来なかったろ? 船以外で西に渡るとしたらあそこ以外ねぇんだ。つまり追っ手を警戒して唯一の通路を封鎖した」
「あぁ、それで通れなかったのか」
ガズルの説明にアデルが納得した表情で立ち上がった。一同はそれを見てため息を付く。
「あのなぁ、お前の頭で一を聞いて十を知れってのは無理なのは承知してるけどよ。せめて五を知ったら残りは理解してくれ」
「悪かったな馬鹿で――」
現在西と中央を繋ぐ旅路は最南端の街グリーンズグリーンから出る定期船以外はガズルの言う蒸気機関による列車しかなかった。その道が途絶えていた事を考えれば遠回りになるが船での航路しかない。
その航路もメリアタウンから一ヵ月と一週間は掛かる道のり、全てにおいて後手後手に回っている彼等の苛立ちは仕方ないのかも知れない。そして何より心配なのが彼等の仲間の安否である。
「それでレイ、あと少しで西大陸に到着するけどどうするんだ? 宛てもなくアイツら探すのか?」
「その事なんだけど、帝国も独自のルートで西に渡ってるだろうから大きな街じゃ戦闘は避けられないと思うんだ。でも大きな街だからこそ情報収集も出来るんだけど……取り敢えずは反帝国を掲げてる南部を中心に回ろうと思う。プリムラ達も居るとしたらそこだろうしね」
西大陸の情勢について彼等も然程詳しくはない。実質的には帝国の支配下にある西大陸だが北東部が現在帝国領に当る。そこ以外は西の技術力が帝国を上回り反発している状況だった。そこまでは彼等でも分かっている範囲だ。
優しい目でそう答えた。
要塞都市メリアタウン攻城戦から一ヵ月と二週間、レイ率いるFOS軍はメリアタウンから南南東に位置するグリーンズグリーンから海上商業組合の船に乗って西大陸へと足を進めていた。後一週間程度で西大陸へと到着すると言ったところで彼等は今後の動きを纏めようと一室に集まっていた。
海上商業組合の情報網によってメリアタウンを脱出したプリムラ達は現在西大陸の南東部に位置する街に居ると分かっている。そこに向かい彼女達を回収した後の事を決めようとしていた。
「それにしてもよ、プリムラ達はどうやって西大陸に渡ったんだ? 俺達もあの後急いで動いたけどここまで一ヵ月と二週間だ。たったの二日でどうやって戦場になったあの場所から移動したんだ?」
アデルがタバコを吹かしながら椅子に寄りかかって天井を見上げた。確かに不思議ではある、プリムラ達は非戦闘員で法術も使えない。彼等とは根本的に違うのだ。
「多分だが西の蒸気機関だろうな、メリアタウンにも数台は有ったし「クレッセント」迄行けば地下のトンネルにも大量に人を乗せられる「蒸気列車」がある。ソレに乗って逃げたんだろう」
「それを使ったって確証は?」
「クレッセントの地下街に行ったときにそのポートが爆破されて通ることが出来なかったろ? 船以外で西に渡るとしたらあそこ以外ねぇんだ。つまり追っ手を警戒して唯一の通路を封鎖した」
「あぁ、それで通れなかったのか」
ガズルの説明にアデルが納得した表情で立ち上がった。一同はそれを見てため息を付く。
「あのなぁ、お前の頭で一を聞いて十を知れってのは無理なのは承知してるけどよ。せめて五を知ったら残りは理解してくれ」
「悪かったな馬鹿で――」
現在西と中央を繋ぐ旅路は最南端の街グリーンズグリーンから出る定期船以外はガズルの言う蒸気機関による列車しかなかった。その道が途絶えていた事を考えれば遠回りになるが船での航路しかない。
その航路もメリアタウンから一ヵ月と一週間は掛かる道のり、全てにおいて後手後手に回っている彼等の苛立ちは仕方ないのかも知れない。そして何より心配なのが彼等の仲間の安否である。
「それでレイ、あと少しで西大陸に到着するけどどうするんだ? 宛てもなくアイツら探すのか?」
「その事なんだけど、帝国も独自のルートで西に渡ってるだろうから大きな街じゃ戦闘は避けられないと思うんだ。でも大きな街だからこそ情報収集も出来るんだけど……取り敢えずは反帝国を掲げてる南部を中心に回ろうと思う。プリムラ達も居るとしたらそこだろうしね」
西大陸の情勢について彼等も然程詳しくはない。実質的には帝国の支配下にある西大陸だが北東部が現在帝国領に当る。そこ以外は西の技術力が帝国を上回り反発している状況だった。そこまでは彼等でも分かっている範囲だ。