スッと立ち上がると一度深く深呼吸した。その姿を見てレイ以外の五名は即座にアデルの傍から逃げた。ミトとミラはガズルに捕まれ、ファリックはギズーに引っ張られる形ではあったが。
「ほら見ろ、信用してねぇだろお前ら!」
「いやだって、なぁギズー?」
「あぁ、変に巻き込まれたら堪らん」
ため息を付きながらもゆっくりと精神を集中させる。高まるアデルのエーテルに反応するように周囲のエレメントがざわつき始める。
次第にアデルの足元から炎がゆっくりと沸き始めた、出だしは好調に見えレイ達も少し緊張の糸がほぐれていく。その時だった。
「っ!」
一気に噴き出す炎にアデルは慌てた、体内のエーテルが軽く暴走を始めたのが分かった。このままでは確実にエーテルに食われると思ったアデルは直ぐ様炎帝とのつながりを切ろうとした。が、
「大丈夫だよアデル、そのまま」
静かにアデルを見つめているレイが諭す様に話す。
「馬鹿野郎、確実に暴走寸前なのに何が大丈夫なんだよレイ!」
「良いんだ、そのまま一度エーテルに委ねて」
レイもまた氷結剣聖結界を発動させる。万が一の事を考えてなのか、はたまた別の意図なのか。レイの表情は何か確信を得ているようにも見えた。
「どうなっても知らねぇぞ!」
溢れだすエーテルをあえてコントロールせずに解放させる、黒く綺麗な髪の毛は真っ赤に染まり瞳の色もまた深紅に染まり始めた。
その姿を見てミラは怯えていた、もしかしたら自分も使えるのではないかと高をくくっていたが目の前で起きている尋常ではないエーテル量とエレメントのざわめきを肌で感じていた。
恐怖。
そう、ミラが感じていたのは紛れもなく恐怖だった。アデルが使えるのであればと思って居た自分を殴りたくなり、またこれ程危険な術を練習も無しに使ってみようと思って居た自分に恐怖した。
「今だ、エーテルの放出を押さえて周囲の炎帝を取り込むんだアデル」
意識を保っているのが不思議な程エーテルに身を委ねていたアデルに届いた言葉は確実に成長している証でもあった。レイの言葉通りにエーテルを操り始めた途端、それまで苦しいほど負担を強いられた体が軽く感じられた。そして。
「――あ、あれ?」
放出するエーテルが一定まで下がった所でエレメントが定着した。同時にデバイスを使っていた時と同じ感覚がアデルの体に現れた。
「出来た?」
体の中に流れるエーテル量も安定し始め、放出するエーテルも自然に還元を始めるのを感じ取ったアデルは炎帝剣聖結界の発動に成功していた。だがそう長くその状態を維持することはやはり困難のようで五秒と持たなかった。
「ね、出来るもんでしょ?」
「何でだ? デバイスも使ってないのに何で?」
目を丸くして驚いているアデルに対してレイは当然と言う顔をしている。
「デバイスを使ってある程度剣聖結界を使うとエーテルコントロールを体が覚えるんだよ、だから僕は確信をもってアデルが発動できると思った」
「その割には氷結剣聖結界発動させてるじゃねぇか」
「ほら見ろ、信用してねぇだろお前ら!」
「いやだって、なぁギズー?」
「あぁ、変に巻き込まれたら堪らん」
ため息を付きながらもゆっくりと精神を集中させる。高まるアデルのエーテルに反応するように周囲のエレメントがざわつき始める。
次第にアデルの足元から炎がゆっくりと沸き始めた、出だしは好調に見えレイ達も少し緊張の糸がほぐれていく。その時だった。
「っ!」
一気に噴き出す炎にアデルは慌てた、体内のエーテルが軽く暴走を始めたのが分かった。このままでは確実にエーテルに食われると思ったアデルは直ぐ様炎帝とのつながりを切ろうとした。が、
「大丈夫だよアデル、そのまま」
静かにアデルを見つめているレイが諭す様に話す。
「馬鹿野郎、確実に暴走寸前なのに何が大丈夫なんだよレイ!」
「良いんだ、そのまま一度エーテルに委ねて」
レイもまた氷結剣聖結界を発動させる。万が一の事を考えてなのか、はたまた別の意図なのか。レイの表情は何か確信を得ているようにも見えた。
「どうなっても知らねぇぞ!」
溢れだすエーテルをあえてコントロールせずに解放させる、黒く綺麗な髪の毛は真っ赤に染まり瞳の色もまた深紅に染まり始めた。
その姿を見てミラは怯えていた、もしかしたら自分も使えるのではないかと高をくくっていたが目の前で起きている尋常ではないエーテル量とエレメントのざわめきを肌で感じていた。
恐怖。
そう、ミラが感じていたのは紛れもなく恐怖だった。アデルが使えるのであればと思って居た自分を殴りたくなり、またこれ程危険な術を練習も無しに使ってみようと思って居た自分に恐怖した。
「今だ、エーテルの放出を押さえて周囲の炎帝を取り込むんだアデル」
意識を保っているのが不思議な程エーテルに身を委ねていたアデルに届いた言葉は確実に成長している証でもあった。レイの言葉通りにエーテルを操り始めた途端、それまで苦しいほど負担を強いられた体が軽く感じられた。そして。
「――あ、あれ?」
放出するエーテルが一定まで下がった所でエレメントが定着した。同時にデバイスを使っていた時と同じ感覚がアデルの体に現れた。
「出来た?」
体の中に流れるエーテル量も安定し始め、放出するエーテルも自然に還元を始めるのを感じ取ったアデルは炎帝剣聖結界の発動に成功していた。だがそう長くその状態を維持することはやはり困難のようで五秒と持たなかった。
「ね、出来るもんでしょ?」
「何でだ? デバイスも使ってないのに何で?」
目を丸くして驚いているアデルに対してレイは当然と言う顔をしている。
「デバイスを使ってある程度剣聖結界を使うとエーテルコントロールを体が覚えるんだよ、だから僕は確信をもってアデルが発動できると思った」
「その割には氷結剣聖結界発動させてるじゃねぇか」