「完全なる偽善者――俺の兄貴「マイク・ガンガゾン」だ」
「ちょっと待てよ、お前の兄貴の二つ名は「殺戮永久機関」だろ。何だよ完全なる偽善者って」
「完全なる偽善者は俺達裏の社会で使われてたもう一つの二つ名。レイやアデルにだってあるだろ? 「重剣のフォワード」と「剣聖」のレイ、「黒衣の焔」「剣帝序列筆頭」のアデルみたいなもんだよ。ただし表では一般的な名前じゃないけどな。その素質を知ってる人間だけで使われてる名前みたいなもんだ」
タバコを思いっきり吸い込んで肺に煙を入れると二酸化炭素と一緒に口から吐き出すギズー、左手でタバコを取って燃える先端をガズルへと突き付ける。
「良いか、身内の言葉だと思ってよく聞いてくれ。完全なる偽善者ってのは親父が付けた二つ名でもありきちんと意味がある。今後帝国と全面戦争になるって考えると確実に俺達は兄貴とぶつかる。その時レイやアデルの二人は絶対に兄貴とやり合わないでくれ」
「理由は?」
淡々と説明するところにアデルが口を挟む。
「兄貴は対峙した相手の能力をそのままコピーしちまうんだ、攻撃スタイルから法術に至るまで全てを完全にコピーできちまう。流石に剣聖結界までコピーはできねぇと思うが万が一されたら……到底勝ち目なんてないと思ってくれ」
「剣聖結界までコピーしかねない? ははは、馬鹿も休み休み言えよギズー。あれはそんな一朝一夕で習得できるほど甘い術じゃない。それこそ大量のエーテルを消費する術だしそう易々と」
アデルが笑いながら否定しようとしたところで言葉に詰まった。違和感を感じた、そうとしか言いようがない程かみ合わない事が先ほど起きたのを思い出し、一気に表情が変わる。
「何だよアデル、そんな悲壮感漂う顔をして」
「ギズー、一つ聞かせてくれ。お前最後に兄貴にあったのは何時だ?」
「一年前の東大陸」
「その時誰と一緒だった」
「さっきから何を言ってやがる、フィリップと一緒に捕まって――」
ギズーもそこで何かに気付く、アデルはその一言で確信を得たような表情でレイの顔を見る。
「お前らさっきから何を話してるんだ?」
「いや、ずっと違和感を感じてたんだ。ギズーやお前じゃ感知できなかったかもしれないから無理はないが……レイ、お前も感じてたはずだ」
「言いたい事は分かるけど、可能なのかな? 適性があってなければ僕みたいに体に想像を絶する負担をかける事になるし。何よりフィフスエレメントなんて先生以外聞いた事が無いよ」
ガズルが首を傾げてギズーとアデルの会話に口を挟んだところでアデルもまた感じていた違和感を口にする。それは同時にレイも感じ取っていたが自身の体験談からも考えて不可能だと頭の中で否定していた。
「なぁギズー、お前の兄貴って法術は何が使えた? どの属性が得意なんだ」
「それは俺も知らねぇんだ、兄貴が法術を使う所なんて見た事がねぇし。大体俺の一族は代々エーテルがほぼねぇんだ。だから剣聖結界以前の問題で法術をどうやってコピーしてるのかもわからねぇ」
「それでも――今までコピーしてたんだな」
その一言でアデルの中にあった違和感と疑問は吹き飛んだ。同時にレイもまた考えうる最悪の事態を想定し、それを口にする。
「ちょっと待てよ、お前の兄貴の二つ名は「殺戮永久機関」だろ。何だよ完全なる偽善者って」
「完全なる偽善者は俺達裏の社会で使われてたもう一つの二つ名。レイやアデルにだってあるだろ? 「重剣のフォワード」と「剣聖」のレイ、「黒衣の焔」「剣帝序列筆頭」のアデルみたいなもんだよ。ただし表では一般的な名前じゃないけどな。その素質を知ってる人間だけで使われてる名前みたいなもんだ」
タバコを思いっきり吸い込んで肺に煙を入れると二酸化炭素と一緒に口から吐き出すギズー、左手でタバコを取って燃える先端をガズルへと突き付ける。
「良いか、身内の言葉だと思ってよく聞いてくれ。完全なる偽善者ってのは親父が付けた二つ名でもありきちんと意味がある。今後帝国と全面戦争になるって考えると確実に俺達は兄貴とぶつかる。その時レイやアデルの二人は絶対に兄貴とやり合わないでくれ」
「理由は?」
淡々と説明するところにアデルが口を挟む。
「兄貴は対峙した相手の能力をそのままコピーしちまうんだ、攻撃スタイルから法術に至るまで全てを完全にコピーできちまう。流石に剣聖結界までコピーはできねぇと思うが万が一されたら……到底勝ち目なんてないと思ってくれ」
「剣聖結界までコピーしかねない? ははは、馬鹿も休み休み言えよギズー。あれはそんな一朝一夕で習得できるほど甘い術じゃない。それこそ大量のエーテルを消費する術だしそう易々と」
アデルが笑いながら否定しようとしたところで言葉に詰まった。違和感を感じた、そうとしか言いようがない程かみ合わない事が先ほど起きたのを思い出し、一気に表情が変わる。
「何だよアデル、そんな悲壮感漂う顔をして」
「ギズー、一つ聞かせてくれ。お前最後に兄貴にあったのは何時だ?」
「一年前の東大陸」
「その時誰と一緒だった」
「さっきから何を言ってやがる、フィリップと一緒に捕まって――」
ギズーもそこで何かに気付く、アデルはその一言で確信を得たような表情でレイの顔を見る。
「お前らさっきから何を話してるんだ?」
「いや、ずっと違和感を感じてたんだ。ギズーやお前じゃ感知できなかったかもしれないから無理はないが……レイ、お前も感じてたはずだ」
「言いたい事は分かるけど、可能なのかな? 適性があってなければ僕みたいに体に想像を絶する負担をかける事になるし。何よりフィフスエレメントなんて先生以外聞いた事が無いよ」
ガズルが首を傾げてギズーとアデルの会話に口を挟んだところでアデルもまた感じていた違和感を口にする。それは同時にレイも感じ取っていたが自身の体験談からも考えて不可能だと頭の中で否定していた。
「なぁギズー、お前の兄貴って法術は何が使えた? どの属性が得意なんだ」
「それは俺も知らねぇんだ、兄貴が法術を使う所なんて見た事がねぇし。大体俺の一族は代々エーテルがほぼねぇんだ。だから剣聖結界以前の問題で法術をどうやってコピーしてるのかもわからねぇ」
「それでも――今までコピーしてたんだな」
その一言でアデルの中にあった違和感と疑問は吹き飛んだ。同時にレイもまた考えうる最悪の事態を想定し、それを口にする。