その日の夜、カルナックとシュガーは旅立った。
 普段の落ち着いた服からエルメアと着替えたカルナックは愛刀を腰に下げ、左手には荷物が詰まったバックパックを持っている。シュガーは着の身着のままだった。
 こちらに来た時も大した物を持ち込まなかった様で身軽で旅に出る。森に入っていく瞬間まで彼等は二人のエーテルを感知していたが、姿が見えなくなった途端感知することが出来なくなった。瞬間的に移動したのか、はたまた転移魔術をシュガーが使ったのかは分からない。
 そんな二人を見送った後、レイ達もまたカルナックの家を経った。一日二日は滞在する予定だったが自体が自体の為その日の夜に出発したのだ。
 彼等もまた走っていた、ここまで到着するのに三日。道中帝国や盗賊団に襲われたりして時間を食っていたが帰り道は帝国の邪魔が入るだけだろう。早ければ二日でメリアタウンへと到着する。そう、そのはずだった。





「――嘘だろ」

 夜間も移動し続けた一行が砂漠を超えを果たし、宿場町へと向かっていた。しかし走れど走れど宿場町は見えず、ついには荒野へと到着してしまった。
 そして、異変に気付いたのはガズルだった。

「何だよガズル、立ち止まって何してんだ」

 ゆっくりと走る速度を落として地面を見つめているガズルにアデルが問いかけた。その表情はまるで信じられないと言った物だ。
 アデルの声に前を走っていたレイ達も異常に気付き足を止めた。

「どうしたんだアデル」
「いや、ガズルが立ち止まったと思ったら足元見て――」

 アデルもまたその異変に気付いた。