ゆっくりとタバコを吸うと目をつむって数秒の沈黙を置いた。その間にレイ達も庭へと走って出てきた。それを確認したかのように正面を向いて。

「その前に餓鬼共、お前らとの決着は西大陸になりそうだ、遅刻せずに来いよテメェら?」
「西大陸っ――お前ら一体何するつもりだ!」

 アデルがグルブエレスを引き抜きグラブに襲い掛かろうとしたがカルナックによって止められる。首を横に振りながらアデルを制止した。

「貴方達は現在メリアタウンでライン戦をしている最中でしょう、そこをほっといて西大陸にまで手を伸ばせばラインが崩壊して一気に崩れる。そんな余裕が今の帝国にあると思ってるのですか」

 一番前に居るレイが怪訝そうな顔でそう言った、その言葉を聞いた瞬間グラブが静かに笑い始め、次第に大声になり大きく笑った。

「何がおかしい!」
「いやいや、めでたい奴らだと思ってな。まぁそのうち分かるさ。さて本題だ剣老院」

 ゆっくりと笑うのを止めてカルナックを静かに見つめた。この二人の間に緊張が走り、空気がざわつき始める。

「右腕を失った貴方に、私が倒せるかしら? 久しぶりの再会楽しみに待ってるわ」

 その言葉にカルナックの殺気が一段と増した、同時に周囲のエレメントがざわつき始める。ここまでカルナックの感情が揺さぶられるのも久しい。半年前にエレヴァファルと対峙した時以来だ。

「――わかりました、彼女(・・)にお伝えください。タダでは死にません。と」
「承った、その言葉しかと伝える。用件は以上だ、俺は帰るぜ」

 もう一度同じようにして煙草を庭に捨てると振り返りカルナック達へと背を向けた。そしてそのまま歩き森の中へと姿を消した。

「レイ君、私は一足先に西大陸へと渡ります。君達はメリアタウンへと戻りなさい。出来る限り早く」