「懐かしいんだ、彼女達のエーテルが。全く知らない人達のはずなのに、エーテルだけはどこか懐かしい。きっと僕は彼女達の事を知ってるのかも知れない、でも見た事も聞いたことも無い。それでもエーテルだけは覚えがあった。それだけだよイゴール」
(――確かにエーテル自体個人差があり全く同じエーテルは無いと聞くが、尚更敵側と接触した時に感じ取った物では無いのか?)
「ううん、今まで出会った帝国兵は全て倒してきた。僕が知る中で対峙した帝国兵の生き残りは居ないんだ。だから帝国の人間では無いと思ってる」

 そこまで話しているとミトが目を覚ました。
 眠そうに眼を擦りながらゆっくりとレイの顔を見る。事情を知らないミトからすれば独り言を喋ってるように見えただろう。

「気づいたのねレイ」
「起こしちゃったね、看病してくれたみたいで有難う」

 二人はゆっくりとそんな話をして、少しの間無音があった後おかしくなり笑い始めた。

「何を独り言喋ってるのよ貴方」
「独り言じゃないさ、僕の中にいる相棒みたいな奴だよ。今度紹介するよ。君も良いだろイゴール?」

 反応は無かった、レイは大丈夫だと判断していてもイゴールはまだ確証を得ていないからかミトとの接触はなるべく避けようとしていた。もしくは単純に照れているだけか。

「シャイな奴だな君も」
「本当に独り言みたい、変なレイ」