ドタバタした自己紹介から一時間後、庭でミトとミラ、ファリックの三人が魔法陣の上に立たされていた。

「信じられねぇ、おやっさんの師匠筋とか居たんだな」
「この時の為に西大陸からお越し願ったんですよ、普段は決して人目に触れる事は無いのですが事情を話した所興味を持たれてね。それにしても魔法とは本当に便利な物です」

 カルナックの師匠、シュガーは西大陸で静かに生きる魔族の生き残りである。今は数も減って殆ど人目に付くことは無いが、こうして時々現れては難事件を解決したり、帝国との戦闘で猛威を振るったりとしている。
 現在の西大陸で行われている帝国との戦闘の殆どは魔族との衝突であり、それを指揮しているのがシュガーでもあった。

「魔族の生き残りねぇ、通りでイゴールに関しても見抜いた訳だ。エーテルの質が魔族と人じゃ全く違うからな」
「と言ってもアデル、君のエーテルもレイ君のエーテルも人のソレでは無いんですがね。それ以上に厄災の純粋なエーテルに反応したのでしょう。さぁレイ君、そろそろイゴールを表に出してもらえますか?」

 この一時間の間に記憶を覗く方法としてとある魔法を用いると説明を受けた彼等だったが、イゴールの魔術も用いる事も説明された。レイはあまり気乗りはしなかったがイゴールは反対しなかったため決行することになった。