メリアタウン本部統括のレナードが叫ぶ、中央に陣取った司令部から各方面へと次々に指示が飛ぶ中、用意をしていたとはいえ奇襲を受けたメリアタウンのダメージは予想を超えていた。住民街にダメージが無いのがまだ幸いしてるとは言え負傷者の数は右上がりで増えていく。
 
「レナード司令、医療班が足りません!」
「泣き言いってんじゃねぇ! 何とかして持たせろ! 彼等は必ず帰ってくるっ! それまでここを落としてはならん! 回復の法術士を前線から少人数抜いて後ろに回させろ!」

 唇を噛みしめながら悔しそうにそう言った。
 城壁の上から見下ろした光景はまさに絶望、大量の帝国兵が押し寄せてくるのをはっきりとレナードは目撃した。
 第二次メリアタウン防衛戦、彼等が旅立ってから一週間後の事だった。




 時は遡り、第二次メリアタウン防衛線より五日前。
 ホバーウォーマーを手に入れたレイ達はオーバーヒート寸前になる程の出力をだして先を急いでいた。結局見つかったウォーマーは一台だけ。その一台にレイとミトが乗る。レイは氷法術で機体の中に随時溶解寸前の氷を生成し、機体の熱で水へと変換させて蒸気を確保。ミトは消耗するレイを回復させながら必死に捕まっていた。
 残りの五人はというと、機体にロープを張り体を引っ張られながら砂の上を滑っていた。その調子で半日ほど移動を続けると砂漠を超えることに成功した。残りは荒野とカルナック家へと続く山道のみであり、そう時間はかからなかった。
 結局カルナック家へと到達したのはこの日の夕暮れ付近になる。

「まったく君達は……」

 ボロボロの彼等を見たカルナックがぼやく。
 全身砂まみれで衣服もボロボロ、アデルに至っては他の六人より一段と汚れていた。玄関の前で申し訳なさそうに笑うレイとアデルにアリスがため息を漏らす。

「あのね君達、ここは洗濯風呂付の宿場町じゃないのよ?」