「使えねぇなぁ――」

 彼らの戦闘を遥か後方でのぞき見していた男が三人、一人が望遠鏡でその様子を見て一言呟いた。

「その様子だと全滅か?」

 寝そべって望遠鏡を覗いている男の隣で煙草を加えている別の男が訪ねる。

「半壊だ、あのショットパーソル全部でいくらしたと思ってんだよ全く」

 望遠鏡を覗いている男がゆっくりと立ち上がってため息をついた。三人ともエルメアを着用していて右胸に鷲のエンブレムが付けられていた。

「ふむ、一度少佐殿に報告を入れるか」
「馬鹿野郎、失敗しましたごめんなさいとでも言うつもりか? 殺されるぞ俺ら」
「そうは言わんが、アレ(・・)の事もあるしな」
「――あぁ、アレ(・・)か。別に構いやしねぇよ。やったのはそこの新入りだ」

 二人がそう話している後ろで彼らの戦況を聞いて不気味に笑う青年が一人いる。

「噂通りの男だったな、少佐殿が連れてきただけはある」
「腕は立つ。が、出来れば関わりたくねぇな俺は」

 望遠鏡を持っていた男が振り返って青年を見る、ひきつった笑い方をして彼らが居る方角だけをじっと見つめている。それが何とも気味が悪かった。

「あー、でも報告は入れておくか。アレ(・・)について後で言われると厄介だしな」
「では、私が入れてこよう」

 そう言うと煙草をくわえている男が砂の山から下りていく。双眼鏡を持っていた男は舌打ちをしながら後ろで笑っている青年に対して悪態をついて同じく下りた。

「化け物め」




「これで全部か?」

 一通りの殲滅を確認したアデルがグルブエレスとツインシグナルを振り回しながら言った、器用に手首を回転させて二本の剣をくるくると回す。