この灼熱地獄の砂漠での使用と、昨夜からの大量エーテル消費に加えて無数の弾丸。溶けて削られる場所を瞬時に修復し続けると同時に展開し続けるだけの容量。それらを見積もってレイ本人が出した時間が五分だった。元々絶対零度はエーテルを大量に消費する法術でもある。

「五分か、よし分かった。お前ら聞いてくれ」

 ガズルが作戦を伝えるためにレイの周りにメンバーを集める、手際よく各々に伝達を行い各自が頷く。銃弾が氷にぶつかる衝撃音が彼らの周りに響き渡る中淡々と喋るガズルに思わずレイが舌を巻く。

「こんな短時間に良くそんなこと思い浮かぶよね本当」
「全員の戦力はとっくに確認済みだし、大したことじゃない。んじゃぁまずはアデルから行こうか」
「アデルから行こうか、じゃねぇよ! 簡単に言いやがって」

 帽子を被りなおしてグルブエレスとツインシグナルを鞘から引き抜く、同時にレイから風法術の加護を受けると一目散に走りだした。

「オラオラオラッ! こっちだ!」

 氷の壁から勢いよく飛び出したアデルに一斉に銃弾が襲い掛かる、無数の弾丸はアデルの走る少し後方へとほぼ全てがずれて弾着する。
 次にギズーが幻聖石からウィンチェスターライフルを取り出すと砲術弾を一発込めてコッキングする。ゆっくりとレイの隣に立ち、氷に隙間ができるとウィンチェスターをその中に入れて銃身を固定した。狙いは盗賊団中央、勢いよくトリガーを引くと一発の弾丸がまっすぐ飛んでいく。着弾。

「ちょっとズレたな」
「誤差だよ誤差」

 銃身を氷の壁から抜いてそう呟いた、狙った場所より数センチずれた場所に着弾したのがどうやら納得いかないらしい。その様子を隣で見ていたレイからすればこの距離で数センチ程度の誤差であれば凄いものだと感心する。

「ミラ、後はテメェの仕事だ」
「言われた通りにするけど、上手くいくかなぁ」