レイの顔ギリギリに一発の銃弾が飛んできた、髪の毛をかすめた弾丸はそのまま後方に陣取るギズーへと直進する、とっさにアデルがグルブエレスを腰から引き抜いてソレを弾いた。

「懲りねぇ奴らだな、今度はシフトパーソルなんて手に入れたのか」

 弾かれて空に舞った弾丸がギズーの目の前に落ちてくると右手で掴む、握られた弾丸を見てギズーがどの種類かを瞬時に判断する。

「シフトパーソルじゃなくて長距離射程用のショットパーソルだな、量産型の安物だが殺傷能力は帝国のショットパーソルより高め。弾速からして恐らく三十年前のK78型だ」
「えーっと、つまり?」

 淡々と解説するギズーにアデルが疑問で返す。そこに再びショットパーソルから発射されたであろう弾丸が彼らを襲う。

「西大陸からの横流し品で、安いから大量に手に入るって事だ」

 銃弾の雨、例えるならそれが一番良いだろう。
 同時多段的に襲い掛かる弾丸は瞬間的に発動させたレイの絶対零度(アブソリュート・ゼロ)によって作られた壁に無数に突き刺さる。一発目の弾丸発射と同時に氷結剣聖結界(ヴォーパル・インストール)を発動させていた、長距離狙撃と分かった時点でこの判断は正しい。発砲音がこちらに届いてこない以上また何時打たれるか分からないのであれば最初から防御に徹していればいい。もちろんコレには問題点もある。

「さて、どうするかな」

 メンバーの頭脳ガズルが腕を組んで考え出した。そう、この状況は安全であるが問題点はいくつもある。一つは向こうが弾切れ切れを起こさない限り動くことができない点。そして絶対零度の壁はレイのエーテル残量から見ても数分。向こうが仮にも弾薬を豊富に確保していたらこちらのタイムリミットを超えてしまう。

「持ってどのくらいだレイ」
「多分だけど、五分が今は限界かな」