砂漠越えを始めてから一夜が過ぎた。
彼らは日の出と共に岩場を出発した、その間格別変わったことは無くて砂漠ということを除けば日常と変わらない程静かな朝だった。
アデルを先頭に置き、レイが最後部に陣取り走る。その際レイの法術により追い風を発生させて全体の移動速度を僅かだが上昇させる。
この日、雲一つない晴天で容赦なく日差しが彼らを照らし続ける。体力は徐々に奪われ始め、移動から一時間程で七人のうち六人がばててしまった。レイだけは法術で体温調整を行っているおかげで比較的体力面でのダメージは少ないものの、逆に精神面。つまりエーテル分でのダメージはそれ相応ではあった。
「あっちぃなぁ!」
アデルが帽子をとって団扇替わりに仰ぐ、その後ろでガズルもニット帽を脱いでパタパタと仰ぎ始める。
「舐めてたわ、砂漠舐めてたわぁ! 暑い暑いとは言うけどこれじゃまるで地獄だ!」
「だから言ったじゃないか――」
嘆くアデルに一番後ろのレイが涼しい顔をしてそう切り捨てた。全体を見ていたレイは少なからず全員の疲労を見ることができていた、その中でもアデルの消耗は激しかった。
「ガズルさん、砂漠を超えるまであとどのくらいですか?」
中央にいたミラが投げかける、フードをかぶって直射日光から頭を守るガズルも息を切らしながら膝に手をついている。
「そうだな、後どの位だろう。おい、アデル」
「あ?」
右手で額の汗を拭うとアデルの肩を叩いた、何事かとアデルが振り返ると満面の笑みを浮かべるガズルの顔がそこにはあった。
「お前、ちょっと飛べ」
「飛べって、何いって――」
彼らは日の出と共に岩場を出発した、その間格別変わったことは無くて砂漠ということを除けば日常と変わらない程静かな朝だった。
アデルを先頭に置き、レイが最後部に陣取り走る。その際レイの法術により追い風を発生させて全体の移動速度を僅かだが上昇させる。
この日、雲一つない晴天で容赦なく日差しが彼らを照らし続ける。体力は徐々に奪われ始め、移動から一時間程で七人のうち六人がばててしまった。レイだけは法術で体温調整を行っているおかげで比較的体力面でのダメージは少ないものの、逆に精神面。つまりエーテル分でのダメージはそれ相応ではあった。
「あっちぃなぁ!」
アデルが帽子をとって団扇替わりに仰ぐ、その後ろでガズルもニット帽を脱いでパタパタと仰ぎ始める。
「舐めてたわ、砂漠舐めてたわぁ! 暑い暑いとは言うけどこれじゃまるで地獄だ!」
「だから言ったじゃないか――」
嘆くアデルに一番後ろのレイが涼しい顔をしてそう切り捨てた。全体を見ていたレイは少なからず全員の疲労を見ることができていた、その中でもアデルの消耗は激しかった。
「ガズルさん、砂漠を超えるまであとどのくらいですか?」
中央にいたミラが投げかける、フードをかぶって直射日光から頭を守るガズルも息を切らしながら膝に手をついている。
「そうだな、後どの位だろう。おい、アデル」
「あ?」
右手で額の汗を拭うとアデルの肩を叩いた、何事かとアデルが振り返ると満面の笑みを浮かべるガズルの顔がそこにはあった。
「お前、ちょっと飛べ」
「飛べって、何いって――」