「噂だけなら僕も聞いたことはある、一度先生の首を狙って返り討ちになった事。雷帝を暗殺しようとして本人とぶつかった事。その時は雷帝と同等の戦いをしたって話だよね」
「そうだ、俺がフィリップに捕まる前の話だ。今覚えばあの時の俺は人質とほぼ同格だったんだろうな。フィリップ程の男も兄貴を恐れたんだ」

 マイク・ガンガゾンの本当に恐ろしいところは上記でも挙げた武術でも体術でもない。彼の暗殺能力の高さにある。一族の中で見れば規格外な彼の戦闘スタイルはまさに奇抜。

「だから並大抵の旅人や傭兵、軍隊なんて兄貴の前じゃ赤子同然だ」

 その力はレイ達同様一騎当千を誇る。近づいてきたものは自分が攻撃されたことすら認識できずに死んでいく。その殺戮は全滅するまで止まらない。故の永久殺戮機関(キラーマシン)である。

「でもお前らと一緒なら何とかなりそうだって、本気で考えてんだ。だから荷が下りた」
「そっか、ギズーも色々と大変だよねそう言う所」
「何を呑気な事言ってんだテメェ、兄貴が俺のこと連れ戻そうと来たら間違いなく戦闘になるんだぞ。言っちゃぁ何だがレイヴンなんかと同等な化け物を相手にすることになるんだ、そうなったらレイ。お前でも無事かどうかわからねぇぞ」

 ごもっともな話だ、雷帝と同等に渡り合ったと言うのであればその強さはまさに四剣帝クラスを相手にするようなもの。いくらレイがカルナックより剣聖の称号を譲り受けたといっても実力は同じ四剣帝クラスである。

「四剣帝と同等の強さを持つかぁ、そう聞くと穏やかじゃないよね。そもそも今の四剣帝ってどうなってるのさ」

 レイが眠そうにあくびをしながらギズーに尋ねた。