「考えられねぇ、だったらなんで危険を顧みずショットパーソルでこちらを狙っていたんだ? 隠密行動をしていたのであればそんな事はぜってぇ無いだろう」

 ギズーの言うとおりである、行き先が明確になる前に単独でFOS軍を叩こうなんて事はこれまでの戦闘で無理であると分かっているはず。では何故先ほどの追手は単独で且つこちらを狙っていたのか。

「じゃぁ、一体何だってんだよ?」

 今度はガズルが首を傾げながら口を開く。目の前でアデルと同じような姿勢でいるガズルをギズーは小馬鹿にしながら逆に問いかける。

「テメェも頭使えってんだ、最低でもツーマンセルって言っただろ。だったらもう一人は一体何処(・・)にいるのかって事だよ」
「だから、それが分かれば苦労はしねぇんじゃ――」

 そこまで言うとガズルは何かを理解したようでグローブを締めなおす。それを見たギズーもまた笑顔でホルスターからシフトパーソルを引き抜く。

「そうだよな? 帝国兵(クソッタレ野郎)!」

 即座に左に体をひねり御者目掛けてシフトパーソルの引き金を引いた。アデルの右隣スレスレを弾丸が走り馬車を覆う布を貫通した。
 御者の心臓に弾丸は命中した、同時に度重なる発砲音に馬が驚き暴れ始める。速度は見る見るうちに加速し暴走寸前となる。

「ギズー! なんて無茶なことを! まだ帝国兵だってわかってないのに」
「なら確かめてみろレイ、間違いねぇ」

 そう言われて慌てて立ち上がると前方へと移動する、そこには既に息絶えた御者がうなだれていた。いつでも振り落とされそうになって。そして右耳に小さな通信機を発見しそれを自分の耳に当てた。

「”おい、今の発砲はなんだ! 応答しろ! ――反逆者共に気づかれたのか!?”」

 通信機からは男の声が聞こえた、そしてレイは驚きの表情を隠せなかった。

「……帝国兵だ」