「なぁミト、俺はテメェが気に入らねぇんだ。いや、テメェらだ。どこの生まれでどこから来たのか、はたまたどんな理由があって俺達の目の前に現れて何をしようとしてるのか。俺にはさっぱり分からねぇ。そんなテメェらを俺達のお人よしは庇うっていうんだから笑っちまうよな? 良いか、もう一度だけ言ってやる。俺はテメェらが気に入らねぇ、できれば今すぐにでも撃ち殺してやりてぇと思ってる位だ。何が楽しくてテメェらのお守をしてやらなくちゃいけねぇんだ。記憶喪失ってのも疑わしいなぁ――」

 ゆっくりと揺れる車内の空気が一瞬だけ張り詰めた。手入れを終えたシフトパーソルにマガジンを装填したギズー、それが原因だった。ゆっくりと自分の顔の前に持ってくると磨かれた自分の獲物を見つめる。鏡の様に綺麗になったシフトパーソルを様々な角度で黙視する。

「ま、まぁ……それをどうにかできないかを先生に相談するんだしさ。ギズーもいい加減――」

 レイが言い終える前にギズーの右手がレイの顔正面に出てきた、その手にはシフトパーソルが握られていてトリガーに人差し指が掛かっている。コックも上がっていて何時でも発射できる状態になっていた。銃口は――ミトに向けられている。
 即座にレイは感じ取った、ギズーから発せられる異常なまでの殺気を。それを見たガズルも止めようと動き出すが後はトリガーを引くだけの状態。どうにかして銃口を蹴り上げるには無理な体制でギズーの手を狙う。

「っ!」

 レイの目にはしっかりと映っていた、ゆっくりと動くギズーの右手人差し指がトリガーを奥へと押し込んでいく。そして目の前で完全にトリガーが引かれると乾いた発砲音がすぐ目の前で鳴り響く。同時に銃口からは弾丸が発射された。