「――で、どうやって剣老院の家まで行くつもりだレイ」

 レイが戻って来てから二時間半、アジトの広間に集められたFOS軍のメンバーとその客人。レイ、アデル、ガズル、ギズー、ミト、ミラ、ファリック。以上七名が各々出発する準備を整えて集まっている。アデルだけかなりの重量だと目で分かる程の大きな荷物を抱えている。

「ごめんアデル、その荷物は何?」
「あ? アリス姉さんに頼まれた色んなものだよ。それで、どうやって行くんだ?」

 重そうに両手に袋を持ち、背中のバックパックもパンパンなアデルは直ぐにでも荷物を置きたそうな顔をしている。レイもこれには困った表情で苦笑いを一つ。振り向いてドアに向かうとゆっくろと開けた。そこには馬車が一台止まっていた。

「こいつで行く、先生がギルドに何やら注文をしていたみたいで荷台はまだ空いてるんだ。それに便乗させてもらう」
「……馬はいなかったんじゃなかったのかよ、おい?」

 口元を引きつかせて今度はギズーが口を動かした。

「馬単体は居ないよ、でも馬車なら居るから考えがあるって言ったんだよギズー」
「口の減らねぇ野郎だなお前も」

 そう悪態をついて一足先に外へと向かうギズー、つられてガズルとアデルも一緒に外へと出る。ミトがキョトンとした様子でそれを見ていたが、クスっと笑い声が漏れた。

「仲いいのねキミ達」
「まぁね」

 右手で口元を軽く押さえて笑っているミトに対してレイも笑みを零した、それを馬車に乗り込んだギズーが横目で睨みつけながら舌打ちを一つする。今度はアデルがそれを見てため息を付く。もっと仲良くは出来ないもんかと頭を抱えてギズーに問いかける。

「なぁギズー、何でお前はそうあいつらに突っかかるんだ?」
「別に……ただ面白くねぇだけだよ」