しかし彼等が特別なのではない。育ってきた環境も大きいのだろう。英雄カルナック・コンチェルトの元で修業をし、その技を伝授された。それも幼少期全てを費やしてである。それこそ地獄のような修業をしてきたレイとアデルの二人はまさに規格外の強さであるのは言うまでもない。

「今度来るときは、お土産話を持ってくるよ。だからそれまで待っててね」

 ガズルも幼少期は孤児院で過ごし、類まれな頭脳で地元の大学まで飛び級。その後主席卒業を果たした。法術こそ苦手であれど彼には天性の力がある。
 一方ギズーはどうだろうか? 戦闘能力だけを見ればこの三人には到底及ばない彼だが殺しの才能だけは群を抜いている。元々彼の家計は特殊であり、帝国から懸賞金が一家全員に掛けられている。罪名は猟奇殺人、特にギズーの兄に至ってはその道から言わせれば芸術とも言われている。

 その兄と共に幼少期を過ごしたギズーもまた並みの子供ではない。殺人術を兄から叩き込まれ、自分もまたシフトパーソルの名手として名を轟かせている。だがギズー本人の才能は殺人術でもなければシフトパーソルでもない。本業は闇医者である。
 殺人術、見方を変えれば「人体のどこを弄れば死ぬのか、殺さずに苦痛を与え続けるのか」その応用である。

「それじゃ、行ってきます」

 ゆっくりと立ち上がり、墓石をじっと見つめた後にその場を去った。