道中に咲いていた小さな花をメルリスの墓の前にそっと添えて手を合わせた。数秒の沈黙の後に彼は目を閉じていつものようにその場に座り込んだ。
「あのさ、もしかしたら暫く来れないかもしれないから」
腰のポーチから水筒を取り出すと水をお墓にかけ始める、その表情はとても穏やかで……少し寂しそうな。そのどちらともとれる。
「あれから半年しか経ってないけど、この数日はちょっとバタバタしてたんだ」
中身を全て出し切ると蓋を閉じてポーチに戻す、両手を後ろに回してゆっくりとのけぞりながらやっと明るくなってきた夏の空を見上げて微笑む。
「瑠璃の後は内戦、その次は人助けだよ。なんだろう、メルのお節介が移っちゃったのかな?」
その微笑は長くは続かなかった。
もう一度瞳を閉じてこの半年に起きた事をなぞる様に思い出し始める。彼女がなくなってからというもの、彼らはただひたすらに走って来ただけなのかもしれない。
初めから帝国の野望を阻止ししようと走って来た彼等だが、メルリスが亡くなってからは心に余裕が無かった。
いや、正しくは「ぽっかり空いた穴を埋める為」にひたすら走って来ただけなのかもしれない。それが周りから見たときに余裕が無いと捉えられる、別に彼等は焦っていた訳でもなければ日々に追いかけられていた訳でもない。それは、彼等がまだ子供だからである。簡単な話、心が未熟なのだ。
いくら剣聖と世間から呼ばれようが、カルナック・コンチェルトの弟子と讃えられようが彼等はまだ十四、十五の子供なのだ。これは周囲の大人も時々忘れてしまう場面がいくつもある。こと戦闘時には――。
そう、彼等の戦闘能力は圧倒的なのである。一騎当千に等しいその力、周りの大人達でさえ束になっても勝てないだろうその戦闘能力はまさに圧巻。鍛え抜かれた軍隊や場数を踏んできた傭兵団ですら舌を巻く強さなのである。
「あのさ、もしかしたら暫く来れないかもしれないから」
腰のポーチから水筒を取り出すと水をお墓にかけ始める、その表情はとても穏やかで……少し寂しそうな。そのどちらともとれる。
「あれから半年しか経ってないけど、この数日はちょっとバタバタしてたんだ」
中身を全て出し切ると蓋を閉じてポーチに戻す、両手を後ろに回してゆっくりとのけぞりながらやっと明るくなってきた夏の空を見上げて微笑む。
「瑠璃の後は内戦、その次は人助けだよ。なんだろう、メルのお節介が移っちゃったのかな?」
その微笑は長くは続かなかった。
もう一度瞳を閉じてこの半年に起きた事をなぞる様に思い出し始める。彼女がなくなってからというもの、彼らはただひたすらに走って来ただけなのかもしれない。
初めから帝国の野望を阻止ししようと走って来た彼等だが、メルリスが亡くなってからは心に余裕が無かった。
いや、正しくは「ぽっかり空いた穴を埋める為」にひたすら走って来ただけなのかもしれない。それが周りから見たときに余裕が無いと捉えられる、別に彼等は焦っていた訳でもなければ日々に追いかけられていた訳でもない。それは、彼等がまだ子供だからである。簡単な話、心が未熟なのだ。
いくら剣聖と世間から呼ばれようが、カルナック・コンチェルトの弟子と讃えられようが彼等はまだ十四、十五の子供なのだ。これは周囲の大人も時々忘れてしまう場面がいくつもある。こと戦闘時には――。
そう、彼等の戦闘能力は圧倒的なのである。一騎当千に等しいその力、周りの大人達でさえ束になっても勝てないだろうその戦闘能力はまさに圧巻。鍛え抜かれた軍隊や場数を踏んできた傭兵団ですら舌を巻く強さなのである。