「……お前は珍しく良い事を言うな。あぁその通りだ、あんなもん見た事も聞いたこともねぇし動力が何で動いてるのかも検討が付かねぇ。今じゃただの鉄くずと同じさ。大体が霊剣でも切れねぇ金属をどうやって加工するって話にもなるしな。考えるだけ無駄だ無駄」

 多分一番驚いていたのはガズルなのだろう、この危機感をどう表現すればいいのだろうと多少なり焦っていたガズルの不安感を一瞬にして拭ったのはアデルの言葉である。確かに現状加工することも出来ないアレを持ち出したとしてもただの鉄くず同然、霊剣でも歯が立たなかったあの金属を現在の文明力でどうにかしようとしてもきっと無理なのだろうとガズルは今一度考えを改めた。

「分かった、では念のためメリアタウン内部の調査だけはしておこう。君達はこれからどうするんだ?」

 レナードが彼らの話をある程度納得したうえでそう言う、レイは一瞬だけ考えてから再び口を動かした。

「現状アレをどうにもできないと分かったので僕達は一度カルナック先生の元へと戻ろうと思います、帝国側も何か仕掛けてくる様子もありませんし、現状でしたら僕達抜きでもきっと何とか出来ると思います。念のためギズーの法術弾と同じものを作ってからお渡しします。それでどうにか切り抜けてください。何かありましたら例の周波数で応答します」
「そうか、では剣老院に一つ頼みたい。君達が出発するときに改めて文章にして渡そう」

 そう言うとレナードは無線機を使って各地に散らばった傭兵部隊及び民間へを一度本部正面の広場に集まるように指示を出してその場を去った。残されたレイ達も各々街の中へと戻り始める、朝食は何にしようかとか持ち物の話などそれぞれが互いに好き勝手に喋っている中レイは一度だけ立ち止まって振り返る。

「気のせい……だよね」