空から現れた三人の少年少女、ミト達は一体何者なのだろうか? ガズルの仮説通り未来から来たタイムトラベラーなのだろうか? 技術的にも難しいと言われている時空転移、二千年と言う未来で一体何があったのか? もしくはタグが偽造された何処かの刺客なのか?

 それは今はまだ分からない、しかし彼女たちが今後のFOS軍、あるいは世界に与える状況は紛れもなく多大であり歴史を変える起点であることは確かだった。だがそれを彼らが知るにはまだ先の話であり、現時点ではまだ誰も世界に異変が起こるなんて事は誰もが想像しえない事だろう。だがこれだけは明確にしておく、この日の出来事がレイ達FOS軍の運命を大きく分ける出来事なる。それはまた先の話。


 翌日、朝日が東の空から登りメリアタウンをゆっくりと照らし始めると街もゆっくりと動き始めた。煙突からは煙が出て家からは人々が伸びをしながら出てくる。司令部に常駐している人間も交代で緊急事態に備えているが一人を残して今は全員寝ている、主に商店街や商人達やギルドが今日の商売の為に準備を始める時間である。
 FOS軍の彼等もまだ眠っている時間だ、そんな中、彼等のアジトの屋上に一人の少女が立っていた。

「……」

 東の空から登る恒星を見て物思いに更けている、遠くを見つめてジッと一点だけを見つめているようだった。そんな彼女の後ろからレイがあくびをしながら登ってきた。

「あれ、ミトさん早いんですね」
「……おはようレイさん」
「おはよう、レイで良いって」
「分かった、おはようレイ……。それなら私の事もミトでいいわよ」

 少し強めの風が吹いている、腰まで長いミトの髪の毛がその風に遊ばれている。ふわふわと靡く髪の毛を右手で押さえて振り向きレイを見た。二人は簡単な会話をして互いに微笑む。

「昨日あんなことがあったのに街はそれまで通りに動くんだ、凄いよね」