粉々になって破壊された装甲、その奥にはもう一枚の装甲が見える。そちらは無傷のままであった。灰色で無機質だった外装とは違ってこちらは黄金色に光る合金で出来ている。全体がやや丸く形成されていた外装は言わば鎧でこちらが本体であった。
 分厚い装甲が剥がれ巨人が身軽になる、先ほどまでの遅い動きから一転素早い動きへと変わっていく。真っ先に狙われたのは目の前にいたレイ。巨人の顔が露になると瞳の部分が赤く光りそこから光が飛んでくる。

「っ!」

 とっさに霊剣でその光を防ごうと前に構えた、飛び出してきた光は霊剣に当たるとレイ共々を地面へと弾き飛ばしてしまった。あまりにも予想外の攻撃にレイは一瞬何が起きたのか理解できなかった。またそれを見ていたアデル達も同様に巨人が何をしてきたのかが分からなかった。

 弾き飛ばされ、地面へと吹き飛ばされてしまったレイは直ぐに起き上がると再び霊剣を構える。先ほどの二倍程度の速度でメリアタウンに近づいてくる巨人に対してもう一度同じ法術を使おうとエーテルを練る。だが巨人はそれを許しはしなかった。
 先ほどと同じ光をレイ目がけて発射した、法術を唱えていたレイはその光を防ぐことも避けることも出来ないでいる。そこへガズルが飛んできてレイを蹴り飛ばした。直線状に何もなくなった光はそのまま地面へとぶつかり爆発を起こす。

「アレに当たると不味いな」

 爆発の衝撃で二人とも別々の方角へ吹き飛ばされてしまった、レイは巨人の足元へと吹き飛ばされガズルはその反対方向、つまり元の場所へと吹き飛ばされてしまっていた。仰向けで倒れたレイの目に飛び込んできたのは巨人の足の裏だった。即座に起き上がると体制を崩したまま後ろへと飛ぶ。が、巨人の足が振り下ろされた時の風圧でもう一度吹き飛ばされてしまう。今度はアデル達の元へと帰ってくることになった。

「た、ただいま」