巨人の周りが急速に気温下降し始めた、足元から徐々に氷が形成されては焼けた金属片の温度でそれを瞬時に溶かしていく。それを数回繰り返したのち完全に氷が形成されていく。するとどうだろう、ガズルの打撃もアデルの斬撃も、はたまた数千度の熱に耐えた巨人の装甲版に亀裂は入り始めた。その亀裂は徐々に広がりを見せて体全体がつぎはぎだらけの様に装甲版すべてにヒビが入っていった。その光景をみたガズルが「なるほど」と感心する。

「ヒートショックかっ!」

 巨人の体を氷が覆うのに一分と掛からなかった、頭部からつま先に至るまですべてが氷漬けになりそこからひび割れた装甲版が見えている。

「こちらレイ・フォワード、支援要請、特殊パロット砲(炸裂徹甲弾)四番から七番ダイレクトサポート。目標敵中央」

 無線機越しにメリアタウン指令本部へと伝達を入れた。

「”こちら本部、ダイレクトサポート了解。城壁パロット砲四番から七番打ち方用意”」

 指令本部から城壁の砲台観測主へと伝達が伝わる、弾丸を大筒に装填するとクランクを回して標準を巨人へと合わせいつでも発射できる体制を整える。この間僅か五秒程度。未だ空中に浮いているレイのすぐ脇をすり抜けるような砲台もあるが構わず命令が下る。

「”打ち方はじめ!”」

 その命令と共に一斉に発射された、ほぼ同時に発射された大砲からは咆哮にも似た音がメリアタウン全体に鳴り響くほどの大きさで広がる。発射時に重砲から煙が立ち上り周囲に硝煙の匂いが充満する。
 四発がほぼ同時に巨人を覆う氷に着弾した、分厚い氷だったが大砲の破壊力により氷全体へと亀裂が生じた。亀裂は瞬時に広がり轟音と共に崩れ巨人の体を覆う装甲と共に破壊した。

「――嘘でしょ」