ガズルの予想は当たっていた、この雨の中炎帝剣聖結界(ヴォルカニック・インストール)を発動させるだけのコントロールを保持しているのには正直に驚くところだが、その効果がどこまで通用するのか。しかしそれは良い意味で予想を裏切ってくれた。

「合わせろアデル!」

 アデルの後方、法術弾の装填を完了させたギズーが空に銃口を向けた。巨人ではなく空へだ、トリガーを引き発射された弾丸は速度を増して空へと昇っていく。一瞬光を放ったと思った瞬間雲が大きな円状に広がりを見せ青空が顔を見せた。それを見たガズルが一瞬何が起きたのかと目を疑った。次にギズーは素早くスピンコックを行い次弾を装填すると同時に排莢を行った。両手で構えて目標を確認する、ドットサイトを覗き込み巨人へ標準を合わせた。

「ガズル、俺の合図と同時に重力爆弾(グラビティ・ボム)だ!

 アデルの叫び声がガズルに届いた、そして彼等二人が何をしようとしているのか理解する。ガズルは立ち上がると負傷した右手ではなく左手を頭上に掲げて重力球を作り出す、それも今まで作り出した大きさの何十倍ものサイズで作り出した。一瞬だけ目の前の視界が歪む、かつてないほど巨大な重力球を作り出したガズルだったが体内のエーテル貯蓄量が並程度である彼にとってこの大きさはまさに規格外であるからだ。

「簡単に言いやがって畜生……急げアデル! 長く持たねぇぞっ!」