呆然と立ち尽くしているレイ達だったが大砲の音でガズルが我に返る、真っ先に走り出したガズルの背中を追う様にアデルとギズーも走り出す。レイはまだその巨人を見上げていた、一体これは何なのか、なんの目的でここに現れたのか、いや……目的何てないのかもしれない。偶然この場所に現れたのか、まさか本当にミト達を追って来たのか。そんなことが頭の中でグルグルと回っている。そして後ろに居るミト達を咄嗟に見つめた。

「ミトさん、アレが何なのか分かりますか?」
「――っ」

 彼女もまた怯えていた、知らないというがその表情には何か気がかりなものが残っている。

「此処は危険です、直ぐに皆さんと非難してください」
「レイさん、あなたは?」
「僕は今からアレを倒してきます、大丈夫、僕達はこう見えて結構強いんですから」

 そう言うとレイもその場を後にしてアデル達の後を走って追いかける。雨が降り続く中彼女たちはびしょ濡れでその場に立っている、ミラが彼女の元へ近づき震える手を握った。

「姉さん、アレって……」
「分かってるわミラ、覚えていないけど見た事はある。たぶん私達が最後に見た物――」

 二人はそれぞれそう受け答えをした、ミラの右側にファリックが近寄ってきて同じように巨人を見上げた。彼もまたこの巨人を見たような気がしていた。

「オイラも何となく見た気がするんだアレ」

 ここで初めてファリックが口を開いた、ずっとミラの後ろで隠れる様にしていた彼だが決して口が聞けなくなっていたわけではない。その性格が災いしていたのかずっと黙っていた。

「人見知りも大概にしてよねファリック、とりあえずどうすれば良いかな姉さん」
「……もしもアレが私達を追ってきたのならあの人たちに全て任せるわけには行かない、何とかしないと。でもどうすればいいの」

 三人は記憶はないものの、確かにそれを見た気がしていた。こちらへやってくる前、それも最後に見たものとしてイメージだけが脳内のどこかに存在していた。