「おいおいおい! また何か出てくるぞ!」

 アデルがグルブエレスを引き抜いてそう叫ぶ、彼の言う通り球体から何かが出てくる。灰色の無機質な物体が最初に姿を現した。 次々と出現するそれはあまりにも巨大な物体だった。

「でっけぇ……なんだこれ」

 半分ぐらいが出現しただろうか、それは彼等にとって全くの未知であった。見た事の無い物体、見た事の無い大きさ。その何かは巨大で角ばっていてい、何処か人の形にも似ていた。
 すべてが姿を現した時その巨大さが良く分かる、メリアタウン郊外に出現したそれは彼等から離れているにもかかわらず見上げる程の大きさをしている。例えるのであれば巨人、だが人間ではない。その体を構成している素材は分からないが現代においてこのような技術が確立してはいなかった。

「あの黒い奴から出てきたってことは、ミト達を追って来たのか? プリムラさん、至急避難勧告を!」

 最後に一度大きな縦揺れがあった後、雨が降りしきる中ようやく地震が収まった、何事かと外に出てくる人の数が増えてきた。そしてその巨人を見上げて驚く。
 当然だろう、突如としてあんなもの(・・・・・)が目の前に現れたとなればパニックになる。ミトを地面に降ろすとレイは直ぐに町全体に避難勧告を出すようプリムラに指示をする。

「レイ、如何すんだあんなでけぇの」

 レイの横に立ってアデルが見上げながら問う、同じようにガズルとギズーも二人の横に立って巨人を見上げた。動く気配は今はない。しかし先ほどから何やら鐘の鳴る様な音が聞こえている。その間隔は次第に短くなってきていた。

「動いてねぇ今がチャンスだ、叩くなら今しかねぇぞレイ」
「分かってる、でもさ――」

 幻聖石から霊剣を取り出して巨人の隅々を調べる様に見渡すレイ、左に立つギズーから攻撃を仕掛ける提案を受けるがどこをどう攻撃すればいいのかが分からない。ましてやこんな巨大なものに攻撃が通用するのだろうか? それがレイの頭の中をぐるぐると回る。

「どうやって攻撃すればいいんだよこんなの」

 あまりの大きさに呆然とするレイ、鳴り響く鐘の音は次第に速度を増し、そして音が止んだ――。